リアルドクターXには「 使えねぇな、本当に」
――心臓は特に生死に直結する臓器なので、重圧もすごいんですね。ドラマの『ドクターX』のように「失敗しないので」とはなかなかいかない。
まお あ、でも似たような感じの脳外科の先生はいました。体がでかくてどしどし歩くタイプの女医さんで。しかも「あの先生には新人はついちゃいけない」っていう決まりがあるくらい、新人が大っ嫌いなんですよ。1回、新人時代にその先生のオペを見学しに行ったことがあったんですけど、ちょうど先輩が抜けちゃった時に「この器具出して欲しいんだけど」って話しかけられて。「まだ入ったばかりで今日は見学なので、できないんです」と言ったら「これだから新人は嫌いなんだよ! 使えねぇな、本当に」とか言われて(笑)。「怖ぇ…」って思いました。「そんなのシャっと出せばいいじゃん!」とか言われました。
――毎回、そんな感じだとスタッフも心労がすごそうです…。
まお でもみんなが思っている程、雰囲気は暗くないんですよ。そうじゃないと逆にやってられない部分もあるのかもしれません。「非日常」が「日常」になっていく感じで…。だから医療ドラマの手術シーンを見ると「空気重いなあ」とか思いますね(笑)。もちろんそういうオペもあるんですけど、もうちょっとこう、サバサバとしている。やわらかくてあったかい感じです。
私は病棟も経験があるんですけど、そういう意味では断然、オペ室の方がよかったですね。なんというか…「チーム」という感じがすごく強かった。1人の患者さんに対して、スタッフ全員が「お願いします」と言って始まって、みんなで手術して。部活とかで一致団結するときに似ているかな。みんなで協力して「私これやります」「これ取ってきます」「●●先生呼んできて」「ハイ」みたいな。すごいチーム感が強くて好きでした。
漫画を通して、オペ看の仕事がどんなものなのか知ってほしい
――オペ室の「チーム」みんなで必死に患者さんを助けようとする…というのは、とても熱量がありますね。
まお 一般的に病院の「花形」ってオペ室だと思うんです。ドラマとかテレビとかで取り上げられることも多いですし、本当に最前線。でも、私も最初は看護師の仕事としてオペ看を知らなくて、「救急とかカッコいい!」とか思っていました。
実際、オペ看は患者さんをケアしつつドクターとも対等に渡り合って行かなきゃいけない。そんなすごいところで働いている人たちがいるのに、このまま誰にも知られずに、「メスを渡すだけの人」みたいな印象で終わらせるのはもったいないなと思って。だからこそ、この『オペ看』という漫画を通して、オペ室で働いている看護師の仕事がどんなものなのか知ってほしいですね。
(【漫画】『オペ看』第1話を読む)
◆◆◆
『オペ看』第1巻好評発売中。