現在WOWOWで『ツイン・ピークス The Return』が放映中です。1990~91年に放送されたテレビドラマ『ツイン・ピークス』の、約25年を経た続編で、設定もそのまま引き継がれています。架空の町ツイン・ピークスは、カナダに程近いアメリカのワシントン州にある、森林に恵まれた土地。旧シリーズはこの静かな田舎で、女子高生ローラ・パーマーの他殺体が発見されたことをきっかけに、群像劇が始まりました。
『ツイン・ピークス』を作りあげたのは、映画監督のデヴィッド・リンチと、主に脚本家として活躍していたマーク・フロストのコンビ。旧シリーズは1話目に当たるパイロット版が話題となったものの、当時多忙を極めたリンチが、連続ドラマに常時関わるのは難しい状態でした。そのため監督回も少ないですし、テレビ局の意向に従ってストーリーラインを変更したところ、途中から息が続かず視聴者が脱落してしまう低迷を招いてしまいました。でも今回の「The Return」は違います。撮影前に、すでにラストまで完全に用意されたスクリプトは区切りがなく、1本の長編映画のような状態でした。それをリンチが監督し、撮影を終えた時点で素材はなんと140時間にのぼりましたが、まず18時間の作品に仕上げ、それを放映用に切って全18話にしています。
91年に放映された旧シリーズの最後の回で、ローラの「25年後に会いましょう」というセリフがありました。それが瓢箪から駒が出たごとく、本当に続編として実現したのが「The Return」です。正確な25年後については、92年にリンチが監督し劇場公開された『ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の7日間』もあるので、今年が25年後で問題なし。それと、旧シリーズを見たけれどもう覚えていない方や未見の方は、リンチの作風からして敷居が高いと思われるかもしれません。確かにアート作品でもあって容易くはないものの、謎をはらんだ展開と演出の面白さによる引力が強いので、「The Return」は1話目から観始めれば楽しいはず。もちろん旧作と劇場版を観ておくにこしたことはないのですが……。