Society5.0が真に問うものは
実はSociety5.0が真に問うものは、まさにデジタル時代における社会全体のアーキテクチャのゼロベースの創造と転換である。モノ中心の言わば有形物中心の社会から、コト中心、データや知識やサービスといった無形の付加価値中心の社会へ。地表のせいぜい山谷の起伏や海くらいの目視的リアルの世界から、そこにサイバー空間という多層的でネットワーク的な質量のない観念空間における空中戦が被(かぶ)さってくる3次元的な世界へ。そこで産業と社会の大変容した姿こそがSociety5.0であり、これは非常に大それた根こそぎ変革を提唱しているのだ。だから、それを実現するためにはアーキテクチャに関わる組織能力を日本企業、いや日本社会全体が異次元に高める必要がある。
その問題提起のために西山氏は役人時代に経団連会長の中西宏明さんも巻き込んで運動論を開始している。もちろん私もそれを応援しているが、昨今のゼロエミッション政策に関わる風潮をみるにつけ、この危機感は増すばかりである。本書によってアーキテクチャ論の本質とその重要性を一人でも多くの読者に共有してもらいたい。
【前編を読む】「DXなのだからデジタルを使う」は決定的な勘違い…問題解決のために本当に必要な“戦略”とは
INFORMATION
『DXの思考法 日本経済復活への最強戦略』刊行記念講演会のお知らせ
【日時】4月16日(金)19:00-21:00
【登壇者】西山圭太(東大客員教授)、冨山和彦(IGPIグループ会長)、松尾豊(東大大学院教授・人工知能研究者)
【定員】 300名(Zoom使用/無料)
主催 資本主義の教養学講演会
運営協力 文藝春秋