「肩車され、頭を触るのも失礼だし……」
志村さんのコントに欠かせなかったお色気シーン。「志村軒」で、その重要なポジションを任されたのが当時20代半ばだった森下だった。
ラーメン屋の店員でありながら、胸の谷間を露出した衣装にミニスカート。回を重ねる度に演出は過激さを増し、ナース服コスプレ、水着、下着姿でコントのオチに華を添えていた。
時には、志村さんが森下の胸を触っているように見えるきわどい演出もあったが、当の森下は「そうでしたっけ。志村さんは何事もなかったかのようにナチュラルなので、触られた感じがしないんですよね。それって志村さんだからですよね」と笑顔で振り返る。
数あるコントの中でも、森下には忘れられないシーンがあるという。
「携帯をいじってばかりで仕事をしないバイトなのに、お客さんだけは呼んでくる面白い役でした。最初の頃は緊張していましたが、志村さんに『楽しくやってね』と声を掛けていただいたのを覚えています。
一番緊張したのが、志村さんに肩車してもらったとき。台本には書いてなくて、当日現場で知ったんです。お店の壁に何かを張るシーンで、志村さんに肩車をしてもらうんですが、上から見たら自分の太もものところに志村さんの顔がある(笑)。頭を触るのも失礼だし、肩を触っても不安定で、どこを触っていいのだかわからなかったですね。衣装は画面ではミニスカートに見えるんですが、実はショートパンツでした。
とはいえ、事前に知っていたら体重を落として行ったのにと申し訳ない気持ちで一杯でした。撮影後に『重くてすみません』って謝ったら、『いいよ、いいよ、大丈夫だよ』って笑顔で返してくれて」
LINEで「悠里ちゃん、次のコント思いついた」
収録後は出演者、スタッフらで六本木にある、はるな愛のお店に集まり、志村さんを囲んで打ち上げをするのが習慣だった。
「私の知る志村さんは、オンとオフの差があまりないと思います。テレビ番組で言うと、『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ系)のときの志村さんが、いつもの雰囲気に近いかな。フレンドリーで明るくて、『悠里ちゃん、あれはよかったね』とダメ出しをするんじゃなくて褒めてくれる。
私がお仕事をしていた10年くらい前は、みんながLINEをやり始めた時期。『志村さん、LINEってすごく便利なんですよ』って説明したら、すごく熱心に聞いてくれました」