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玄関の靴を枕にしてよく寝ていました

——ほっつんさんがお祖父さんお祖母さんと暮らしていたときも、やはり厳しかったのですか。

 そうですね、厳しかったと思います。祖父母の家にいたのは5~6歳までですが、当時はお母さんの弟も一緒に暮らしていたので、僕とゲームの取り合いになることがあったんです。それで祖父母に「外に出て反省しろ!」と言われることはよくありました。今で言う「昭和」な感じの教育ですよ(笑)。でもそういうの、僕は当時、知らないから、すごい嫌やった。

——小学1年生くらいでお母さんと暮らし始めて、弟さんのお父さんとも一緒に暮らしたんですよね。優しい方でしたか。

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 弟のお父さんは優しくはなかったかな。何かあるとすぐ外に出されて、ご飯抜きにされました。家の中に入れても玄関まで。だから、玄関の靴を枕にしてよく寝ていました。僕も外に出されるとムカつくので、家のエレベーターの横とかあえて人目につくところで寝ていました。そんな毎日やったんで、当時は学校にも行けてなかった。やり返してやりたいと思っていましたね。

小学校の卒業文集 ©文藝春秋

近所の人は基本ほぼ無視

——近所の人がご家族に声をかけたり、通報することはなかったんですか。

 そんなん言う人はなかなかいないですよ。近所の人は基本ほぼ無視で、たまに話しかけても「大丈夫か」と言うくらい。あとは、たまにお菓子をくれるくらい。みんな、関わると面倒臭いことがわかっているので。

 でも、親切で大好きやった地元のおばあちゃんが1回だけ「家、入られへんのか。じゃあ、うちにおいで」みたいに声かけてくれて、家に入れてくれたことがあったんです。ご飯ももらって、ノートを買ってもらって勉強を教えてもらいました。でもある日突然、おばあちゃんと離されて、それ以降は家に遊びに行けなくなったんです。

©文藝春秋

——目の前で引き離されたということですか? 

 僕は小学1年くらいやったから、あまり詳しくは覚えていないんですけど、ただ「なぜかいきなりおばあちゃんの家に行けなくなった」という記憶だけあります。あとから聞いたら、近所の人か誰かが通報して、おばあちゃんが僕を拉致したという話になっていたらしいんです。助けてくれる人がいてもそういう目に遭うから、周りも助けたらアカンという感じになったのかなと後で思いました。明らかに面倒くさいじゃないですか。

 でも結局、お母さんと暮らしたのは半年くらいだけで、誰かが通報したかなんかで突然車に乗せられて児童ホーム(児童養護施設)に連れていかれて、そこから小5までホームで暮らすことになったんです。