文春オンライン

外国人が「Excuse Me!」にちょっと緊張する理由

JRスタッフも実践中! ルーシーの「外国人の気持ちがわかるおもてなし英会話」#1

note

初来日の外国人はいつだって「Why Japanese People!?」状態

 例えば、「カバ」エピソードに登場した友人には、旅行中に必須と思われる日本語「すみません」「ありがとう」「こんにちは」の3フレーズを教えました。このフレーズは多くの観光客が暗記して来日します。日本人がハワイに行くと「アロハ」や「マハロ」を覚えるのと同じですね。友人は日本のあちこちでこの3フレーズを使ってくれました。当然ながらときどき不正解の使い方もありましたが……。特に可愛かったのは福井市のホテルをチェックアウトしたあとのことです。友人はスタッフに深くお辞儀し、「こんにちは!」とドヤ顔で挨拶していました(笑)。

©iStock.com

 日本語や漢字との出会いが一度もない外国人にとって、日本語という言語はとても聞き取りにくく、細かい違いが分かりにくいのです。例えば、山手(やまのて)線をやっと覚えたと思ったら、山手(やまて)駅という読み方の異なる同じ漢字が出てくるのですから! 1音1音がはっきりしている「カキクケコ」などの発音は、全部混ざって聞こえるような英語、スペイン語、フランス語などの発音感覚と全く異なっています。

「Why Japanese People!?」ではないけれど、日本で長く生活してきた厚切りジェイソンさんも私も、そういう気持ちになるのですから、観光客が日本語や日本の文化を前にして、パニックに陥る状態はよく理解できます。

ADVERTISEMENT

「Is this the Shinkansen?」

 この前は東京駅から山形新幹線に乗車し、郡山駅で観光客が慌てて乗りこんできた場面に遭遇しました。この人は発車まで少しばかりの時間があったので、車掌さんを見つけるやいなや、大きな声で「Is this the Shinkansen?」(こちらは新幹線ですか?)と不安そうな顔で聞いていました。すごく驚きましたね! だって、新幹線のチケットを持っている上に、新幹線専用の改札を通って、新幹線専用のホームに立っていたにもかかわらず、自分が乗っている電車が新幹線かどうかがわからないのです。観光客はそれほど迷ったりしているんですよ!

 こういったとき、私は初めて生まれ故郷のハワイからアメリカ本土(メインランド)に行き、家族みんなでサンフランシスコ湾を眺めたときの出来事を思い出します。真っ赤なベイブリッジの景色を満喫していたら、妹が「カリフォルニアにはいつ行くの?」と母に聞きました。サンフランシスコはカリフォルニア州の中にあると、気がついていなかったのですね。初来日の訪日外国人も妹の状態とさほど変わりません。ある時、ニューヨークのタクシードライバーに「日本に住んでいます」と言うと「すごい! 日本ですか? 最高ね! ちなみに日本のどこ? 香港?」と真面目な顔で応えられました。