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根尾、高松、岡林…ドラゴンズの若手たちよ、“経験”を積んでチームを引っ張ってくれ

文春野球コラム ペナントレース2021

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失敗を成功につなげられる人は強い

 若手選手がレベルアップしていくには、試合出場の経験を重ねることに尽きると思います。一軍での試合経験の少ない19歳や20歳の選手はミスがつきもの。でも、試合に出なければミスを取り返すチャンスもありません。二軍の試合に出ることも大事だと思いますが、やっぱり一軍の試合に出ることで得られるものは大きいでしょう。

 あとはまわりが期待をかけ続けたり、助けてあげたりすることが大事だと思います。根尾くんが落球したとき、小笠原投手がピンチをしのいでくれたのはすごく熱かった! 与田監督が次の試合もスタメンから外さずに起用していたのも嬉しかったです。

 根がポジティブな僕ですが、それでも大きな失敗をした後、気持ちを切り替えるのって本当に大変です。たとえば、全国区の番組などに出演したとき、ガッと前に出たのはいいけど、「うわ、今のは絶対に違った……」と気づくことがあります。でも、折れることはありません。僕が折れないのは、もっとしんどかった経験を積んでいたからです。

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 僕たちBOYS AND MENは今年でグループ結成11年目ですが、いろいろなお仕事のチャンスをいただけるようになりました。ようやく掴んだチャンスだから、一度や二度のミスでは立ち止まってはいられない。10年分の積み重ねと思いが乗っかっているから、ちょっとしたミスぐらい何だと思うことができます。逆に言えば、経験の少ない若い選手に「ミスは気にするな」と言っても無理な話なんです。

 僕たちは結成直後からとにかく舞台公演を積み重ねてきました。50人ぐらいしか入らない小さな劇場で、朝も夜もお客さんの前に立ち続けていたことが今につながっています。当然、ミスもありました。そういうときはメンバーが助けに行くのですが、上手くフォローできるか、一緒に墜落するかはやってみなければわからない(笑)。お客さんが温かく見守ってくれたからチャレンジできたこともたくさんありました。

 でも、そういう経験を積んできたからこそ、氣志團万博とかイナズマロック フェスのような絶対に失敗できない巨大なステージでも、自分たちのカラーを出しきることができるようになったと思います。

筆者・辻本達規(BOYS AND MEN)©カルロス矢吹

 根尾くん、高松くん、岡林くんのような若手選手は、ひょっとしたら小さな舞台をあまり積まずにいきなりホール公演や巨大なフェスに出ているような状態かもしれません。ワンプレーの怖さを味わっている最中でもあると思います。プレッシャーもあるでしょうが、失敗を恐れず、積極的にプレーしてほしいですね。やりきったときの自信はなにものにも代えがたいと思います。

 プレッシャーのかかった場面で自分の力を発揮するのは一番難しいことですが、そこで練習を積んできたことを成功させられる人が活躍できます。これは野球に限らず、どんな職業の人でも同じでしょう。たとえ失敗しても、その失敗を次の成功につなげられる人は強い。そういう選手が、ひとりでもたくさん出てくるドラゴンズであってほしいと強く思います。

 福留さんの代打、高松くんの代走、そしてスタメンの根尾くん。どれも去年までは見られなかった新しいドラゴンズの形です。そして、根尾くん、高松くん、岡林くんは今後のドラゴンズを支えるために大きくなってほしい選手たち。キャッチャーの石橋くんも含めて、シーズン終盤にはチームを引っ張るような選手になっていてほしいですね。与田監督、若手選手をどんどん起用してください!

 

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