世界中で最も売れている本を順に挙げると、聖書、シェイクスピア、そしてアガサ・クリスティと言われる。死後40年たってもなお色褪せないミステリーの女王の魅力を、来日したひ孫のジェームズ・プリチャードさんに聞いた。
「曽祖母は人間に非常に興味をもっていて、とても聞き上手でした。外出すれば、隣の席の人の会話にも耳をすませていました」
旅行先でオリエント急行に乗った折に、夫へ送った手紙には、周りの人の観察記がしたためられていたという。
「記憶力は抜群といってよく、晩年はタイプライターを打つことができずに、口述筆記だったのですが、まるで書いてあるものを読むかのように物語を話したそうです」
クリスティ原作の映画『オリエント急行殺人事件』が、名優ケネス・ブラナーの主演・監督で12月に公開される。その製作総指揮を務めるプリチャードさんは、
「ケネスはとても知的でパワフルです。自分の主演を条件に監督をひきうけたのです。汽車の真似までしてプレゼンテーションをしたのですよ」
企画が枯渇するハリウッド映画業界では、クリスティ原作の争奪戦が繰り広げられているという。人物描写に優れた脚本は決して古びないという証拠であろう。
映画『オリエント急行殺人事件』
12月8日より全国公開
http://www.foxmovies-jp.com/orient-movie/