年々増加し続ける中学受験者数。小学生同士の競争は過熱し続けている。そんな中、子どもの自律性を育てることや、親子関係を損なわない中学受験ができる塾として、注目を集めているのが中学受験専門塾「伸学会」だ。

 ここでは、同塾代表の菊池洋匡氏による著書『「しつけ」を科学的に分析してわかった小学生の子の学力を「ほめる・叱る」で伸ばすコツ』(実務教育出版)を引用。子どもに集中して勉強に臨んでもらうためのケーススタディを紹介する。(全2回の1回目/後編を読む)

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なぜ、子どもは何度も同じ失敗を繰り返すのか?

 子どもを叱ってイヤな気分になる。子育てをしていてたびたび訪れる瞬間だと思います。生徒を指導していても叱らなければいけない場面はたくさんあります。最初から完璧な行動ができる子などいません。悪いところを指摘して、改善を促さなければいけないときは必ずあります。しかし、子どもを叱ることで相手も自分もイヤな気分になるのは、できれば減らしたいもの。特に残念なのは、同じ理由で何度も叱らなければいけないときです。

 人間はそう簡単に変われるものではありません。あなたも、きっと同じ失敗を繰り返してしまったことはありますよね。私にもあります。子どもであればなおさらです。子ども自身も同じ失敗を繰り返したくないと思っているのに、またやってしまった…これは仕方のないことです。子どもの未熟さを受け入れてあげなければいけませんよね。

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 しかし、そうではない場合もあります。子ども自身が納得していないから、叱られても同じことを繰り返す場合です。こうしたケースは、私たち大人の指導力不足にも原因があります。子ども自身が納得して、自分から「良い行動をしたい」と思ってもらうこと。これが、しつけの大きな目標です。そのために最も大事なのが子どもへの正しい伝え方です。正しい物事のとらえ方、正しい考え方、正しい勉強法など、親としてお子さんに教えたいことはたくさんあるでしょう。それを子どもに教える上で大事なのが、内容よりも伝え方なのです。