陰謀論が世間を騒がせるようになって久しい。

 アメリカでは国を揺るがす大問題になったことは記憶に新しいが、日本でも福井県の自民党ナンバー2である斉藤新緑県議が議会報告の中で、ワクチンを「殺人兵器」とし、コロナ騒動は世界を闇から操る勢力であるディープステイト(DS)が計画したものだと主張していたことが、「週刊文春」3月25日号で報じられ話題になった。(全2回の1回目)

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「議会報告」のなかにQアノン陰謀論

 筆者も斉藤県議の配布した議会報告に目を通したが、「議会報告」と銘打っているにも関わらず、「光りの勢力(トランプ陣営)」、「バイデン親子は国家反逆罪で逮捕されている」、「地球外生命体や人間とのハイブリッド(レプティリアン、トカゲ人間)」、「地上の最後の光と闇の戦い」等、紙面の大半が近年アメリカで問題になっているQアノン陰謀論の影響が濃厚な主張で占められていた。

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 その中に気になる記述を見つけたので以下に引用する。

 また、毎年、世界では百万人、日本では3万人もの子供が誘拐され、行方不明になっています。
 悪魔崇拝者(カバール)の「儀式」に子どもたちが「生贄」として供され、性的・肉体的に虐待されています。
「アドレナクロム」とは、まさに、その生き血を吸う「若返り」商品で、飲用しなければ一気に老化するので麻薬のように常習しなければならなくなります。
 それが、教皇や女王や政治家やセレブやハリウッドスターなど、多くが愛用していたというから驚きです。
 東京ディズニーランドの地下からも、昨年5月5日、二千名余りの子供が救出されています。
 セントラルパークの地下からは1万人が救出されたようです。(中略)
 でも、トランプチームが、カバール掃討作戦で、悪人退治をしてくれており、既に、世界中で300万人ともいわれる大量逮捕、処刑が実施されているようです。

「福井県議会議員さいとう新緑 議会報告」より

 斉藤県議の「議会報告」はネット上で流通するQアノン言説のまとめ的な内容だが、上記の記述は本稿の主題である最近のネットの陰謀論界隈で話題になった「事件」と密接に関連しているため、まずはこの言説について解説したい。