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「なんの仕事ならできるの?」“女子アナブーム”入社、2年目で結婚、出産…TBS堀井美香さんが明かす「異色のキャリア」と「救われた言葉」

TBSアナウンサー堀井美香さんインタビュー ♯1

2021/04/11

source : 文藝春秋 digital

genre : エンタメ, 働き方, 読書, テレビ・ラジオ, 芸能, ライフスタイル

note

先輩からの「最後に帳尻が合えばいい」という言葉に救われた

 入社2年目の1996年には同期の男性と結婚。翌年に長女を出産するも、局内の反応は良いものではなかった。当時、入社間もない新人アナウンサーが結婚・出産することは異例だった。それでも堀井さんは無理に仕事を両立させるのではなく、子育てを優先した。

「どちらの両親も地方にいて、夫も仕事が忙しかった。そんな環境では私が子育てをする以外、選択肢はありません。自分は腹をくくっていたので悩むこともなかったんです。ただ、夕方の帯番組は子どもと夕飯を食べられないからできません、土日のラジオも出られませんとなると、職場では『じゃあなんの仕事ならできるの?』となってしまう。肩身の狭い立場でしたが、先輩からの『最後に帳尻が合えばいい』という言葉に救われました。じゃあ今は子育てに専念して、彼らが巣立ったらその後、思う存分仕事をしてキャリアの帳尻を合わせればいい。そう思えたんです」

写真はイメージ ©iStock.com

 堀井さんは“育児と仕事の両立で戦ってきた”感を出さない。「それが自分のやるべきことだったので」と、気負いなく話す。「『母』『アナウンサー』『上司』みたいな型があったほうが生きやすいタイプ」と自己分析するが、型を利用して自分のやりたいことを完遂してしまう、スマートで芯の強い方のように見える。

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「今は3年前に子育てが一段落して仕事にガッとシフトして、年々仕事が増えてきている状態。アナウンス業務だけでなく社員としての沢山の仕事を本当に忙しくやらせてもらっています。帳尻が合ったかどうかはまだわかりませんね。でも来年は50歳。なんとなくゴールみたいなものが見えてきた今、ひとつの節目だとは感じています。管理職になって現場を離れていく寂しさを同期からも聞きます。じっくりこの一年、次のステージのことを考えていきたいと思っています」

 後編では、久米宏さんや永六輔さんといったカリスマから教わったコミュニケーション術や、ラジオの相棒であるエッセイスト、ジェーン・スーさんとのお話などを聞いた。

ほりい・みか/TBSアナウンサー。1972年3月22日生まれ、秋田県出身。法政大学法学部を卒業、1995年にTBS入社。これまでTBS系列の番組で多くのナレーションを担当。同局のナレーターとして圧倒的な実績を持つ。現在、TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』にレギュラー出演するほか、週一回ポッドキャスト番組『OVER THE SUN』も配信中。一男一女の母。小学生の頃からの音読経験を生かし、子育て時に「絵本の読み聞かせ」を実践。現在はTBSアナウンサーによる朗読会『AーLOUNGE(エーラウンジ)』のプロデュースを担当する。

INFORMATION

ポッドキャスト番組『OVER THE SUN』

 

ジェーン・スーとTBSアナウンサー・堀井美香による、Podcast番組。リスナーのみなさんともに語らいながら、“太陽の向こう側”を目指していきます。(毎週金曜日・午後5時に配信予定)

出演:ジェーン・スー(コラムニスト・作詞家)、堀井美香(TBSアナウンサー)

「なんの仕事ならできるの?」“女子アナブーム”入社、2年目で結婚、出産…TBS堀井美香さんが明かす「異色のキャリア」と「救われた言葉」

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