文春オンライン

リスナーから「お願いだから黙っててください」TBSアナウンサー堀井美香さんが語る“プロの相槌”と“女友達との会話”

TBSアナウンサー堀井美香さんインタビュー ♯2

2021/04/11

source : 文藝春秋 digital

genre : エンタメ, 働き方, 読書, テレビ・ラジオ, 芸能, ライフスタイル

note

 TBSアナウンサーとして「ナレーション道」をひた走ってきた堀井美香さん。現在はエッセイストのジェーン・スーさんと共にパーソナリティを務めるポッドキャスト番組『OVER THE SUN』が「JAPAN PODCAST AWARDS 2020」で二冠を達成するなど、ラジオパーソナリティとしても人気を誇る。堀井さんの返しや「間」から相手への心遣いや品を感じ、筆者もラジオの前で耳をうっとりさせている一人だ。(全2回の2回目/前編から続く)

毎週金曜日・午後5時に配信予定のポッドキャスト番組『OVER THE SUN』。「今週も、よくぞよくぞ金曜日までたどり着きました……」で始まるジェーン・スーさんと堀井美香さんのトークを支えに1週間を過ごすリスナーも多い。

◆ ◆ ◆

「堀井さんはお願いだから黙っててください」と手紙が届いた

「本当に仲のいい女友達との会話って相手の話を聞いていないことが多いですけど、スーさんとの番組もそれと同じ。言いたいこと言ってるだけで、“間”も何も……ですよ。

ADVERTISEMENT

 そうそう、昔、永六輔さんのラジオでアシスタントをしていた時、永さんの言葉に対していちいち返しをしていたんです。当時はそれが仕事だと思っていたし、反射神経の良さをアピールしたい気持ちもあったと思います。そうしたらリスナーの方から、『堀井さんはお願いだから黙っててください』と手紙が届いて。丁々発止のやり取りじゃなく、リスナーさんは永さんの話を聞きたいんだ! と、そこではじめて気がつきました。

 永さんは『毎回、相槌を打たなくていいよ』とアドバイスをくれて。『僕は君の相槌ひとつでどこへでも行けるから、10回相槌を打つかわりに、1回の相槌で会話をどの方向に向かわせるかだけに集中してみて』と教えられました。一番いいタイミングで『そうですね』ではない、自分なりの相槌を打つ。今でもそれは意識していることです。ちなみに、11年間番組でご一緒した久米宏さんは、私が凡庸な返しをすると絶対に拾ってくれませんでした(笑)。

1967年にTBSに入社した久米宏さん(1976年撮影) ©文藝春秋

 相手のコメントに逐一返しをしたりスピード感で突っ込むのではなく、話終わりまで待って、会話のどこに光を当てるのかを考えて抽出する。そういうスタンスでお話を聞いていると、自然と“間”が生まれるのかなと思いました。しつこいですが、スーさん以外のオフィシャルの場では、の話ですよ(笑)」

関連記事