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「下世話」が「王道」を超えてしまう“強烈な違和感” 本当の正論はどこにあるのか?

2021/04/13
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ゲンダイ師匠が真面目に見えてしまう「今」って大丈夫か

 皮肉な展開である。この本質を新聞もテレビも見て見ぬふりするから、下世話が王道を超えてしまっている。スキャンダリズムがいつの間にか東京五輪の不透明な体質を問う役割を担っている。いいのか他のメディアはそれで。

 では次の「下世話が王道を超えている」例を挙げる。それはタブロイド紙。これも相当下世話です。

 ところが4月7日付の「日刊ゲンダイ」の1面を見て驚いた。

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『池江の復活と五輪開催可否は別問題』

 びっくりした。タブロイド紙といえば意地悪でひねくれた高カロリーな記事が楽しみなのですが、これは冷静な指摘。

『安直な商業主義に利用された選手の方こそいい迷惑』

 いや本当に。選手には素晴らしい運営でこそやってほしい。ゲンダイ師匠が真面目に見えてしまう「今」って大丈夫か。

東京五輪代表入りを決めた池江選手 ©JMPA

 ちなみにこの記事では安倍前首相の「ここまで重ねてこられた努力は本当に並大抵のものではなかったと思います」という池江璃花子選手へのツイートを引用し、

《「桜を見る会」前夜祭の問題だけで118回も虚偽答弁をするのも並大抵のことではないが、》

 と「並大抵」について皮肉をかましていた。ああ、安心した、意地悪なゲンダイ師匠がここにいた。

「首相出して」ワクチンを巡るファイザーとの交渉

 同じタブロイド紙の「夕刊フジ」も王道(一般紙)より興味深いコラムを掲載していた。

『コロナ対策で菅首相、結果出せず ワクチン遅れと病床の逼迫』(4月7日付 風雲永田町)

 ベテラン記者たちのコメントを載せている。

「ファイザー側が、交渉相手をめぐり『河野太郎ワクチン担当相とでは、格が低い。菅首相とであれば交渉する』と言った、との情報があるようだ。それならば、菅首相はなりふり構わず交渉すべきだったのではないか」