2008年のM-1決勝戦。栃木訛りで繰り広げられる作りこまれた漫才で一躍有名となったU字工事のふたり。漫才終盤で放つ「ごめんね、ごめんね~」のギャグは一世を風靡した。
あれから13年。コンビ結成22年目を迎えた2人だが、ネタは当時と変わらない栃木ネタだ。競争の激しい芸能界で、栃木ネタ一本でも飽きられることはなく、常にテレビの世界で笑いをとり続けている。
ドラマでいう主役のような華々しいポジションではない。だが、名バイプレイヤーのように息の長い活躍を続ける2人に、芸能界で生き抜く術を聞いた。(全2回の1回め/#2を読む)
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栃木ネタ以外に挑戦してみたこともあるけれど…
――デビューしてから今年でもう22年目になるんですね。
益子 本当にありがたいことですよ。コンビ結成したばっかりの時は、どっかの事務所にさえ入っとけば栃木に帰った時に「俺ら芸能人だったんだぜ!」って自慢できるからってくらいの気持ちで始めたんですよ。それがまさか、こんなにも長く続けさせてもらえるとは思っていませんでしたね。
福田 東京の芸能事務所入っていたら、それだけで栃木ではもうスターですから。
――スターのハードルが低い(笑)。でも、いまやお2人は名実ともに栃木が生んだスターですよね。栃木ネタ一本で、飽きられることなく活躍し続けられているのは、本当にすごいことだと思います。
福田 いや、もう飽きられてると思いますよ。後輩のカミナリからも「おめぇら、かんぴょうと餃子ばっかで新しいことなんもやんねぇな」って言われてますから(笑)。でも、僕らはそれしか出来ないんですよね。何度か栃木ネタ以外に挑戦してみたこともあるんですけどね。
益子 あったなぁ。俺が「何にでも感謝する」っていうネタ。ツッコまれても「ありがとな、俺の間違ってぇとこ教えてくれて」って感じの。
福田 そのネタができた時は、もう2人でハイタッチするくらいの手応えがあったんですよ。「新生U字工事の誕生だ」っていうくらいに(笑)。ネタおろしは、K-PROさんっていうお笑いイベント会社が主催するライブで、サンドウィッチマンさんなんかも出ていて。今でも覚えてますね。M-1王者のサンドさんに「僕ら今日、新ネタおろすんで」って自信満々に言ったんですよ。
益子 で、いざやったら、今までの中で一番ってくらいスベったんですよ。お客さんが、口をポカーンって開けてましたからね。「この人たち、栃木ネタの人じゃねぇの?」って感じで。
福田 サンドさんにも普段は「アドバイスください」みたいなこと言ってたんですけど、その日は見つからないようにすぐ帰りました。それからK-PROさんのライブは一度も呼ばれてませんね(笑)。