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2021/04/21

 舗装路を前提とした都市型SUVは、走破性に特別優れているわけではなく、ユーザー側もほとんどの場合この点に期待してSUVを選んでいるのではない。走破性を重視するなら「4WD」は必須だが、ハリアーやヴェゼルをはじめ、大多数のヒット車種では「非4WD」のモデルが売れ筋となっている。

 SUVの力強いデザインからは「ぬかるみや雪道をグイグイ進む姿」が思い浮かぶが、もはやそれは実情に即していないイメージだと言える。たとえば4WDのミニバンが雪道を難なく進むなか、非4WDのSUVがノロノロ進む、という奇妙な光景もありうるわけだ。

オールラウンダー?中途半端?

 つまるところ、特定の用途に照らした場合、「都市型SUV」はとりたてて秀でたポイントを持っているわけではない。けれども、他のボディタイプと比べて明確な欠点があるわけでもないので、相対的なバランスとしては優れているとも言える。

 ミニバンと比べると、車内空間は狭く、スライドドアもないため不便である。しかし多くの場合、ミニバンよりも剛性感があり、いわゆる「運転する楽しさ」も感じやすい。デザイン面も、箱形に比べれば流麗だったり、アクティブさが演出されていたりと、新鮮味を見出せるだろう。

 セダンに比べると、車体が高いぶん走行安定性や静粛性、乗り心地の面で不利になる。一方で、視点が高く見晴らしがよいため、山道などに行かない限りむしろ運転はしやすいとも言える。荷室もセダンより広く、旅行やキャンプにも使いやすい。

 総じて、都市型SUVは「そこそこ詰めるし、そこそこ走る」というバランス感を特徴としたオールラウンダーなのである。

SUVのデメリット

 上のような「SUVにしておけば、とりたてて困る場面はない」といういささか曖昧なメリットに対して、デメリットはきわめて具体的である。

 まずは車両価格の高さである。たとえば「ヤリス」とそのSUV仕様「ヤリスクロス」は同じプラットフォームを採用しているが、30万円ほどヤリスクロスの方が高くなる。その他の車種についても、同じプラットフォームを用いる非SUV車種と比べ、おおよそ20~50万円ほど割高になるイメージだ。

 維持費の面でも、タイヤサイズが大型になるぶん高額になり、重量増のため燃費も悪化する。月々で計算すれば2000円程度の差に収まるケースがほとんどだろうが、タイヤ購入の際にはその額に驚くこともあるかもしれない。

 加えて、フロアが高いため、子どもや高齢者の乗り降りには向いていないという点もデメリットとして挙げられるだろう。