赤羽は東京都北区の中心市街地である。駅前は繁華街になっていて、味のある立呑み屋などがいくつもある、酒呑みにとっては憩いの町だという話を聞いたことがある。
そして赤羽は東京北部の交通の要衝でもある。山手線の東側からやってくる京浜東北線と西側からやってくる埼京線がここ赤羽で邂逅。赤羽駅のすぐ北を流れる荒川を渡って埼玉県に入ると京浜東北線と埼京線は再び袂を分かち、終点の大宮までは別の道をゆく。だから両路線を互いに乗り換えようと思うときに、赤羽駅を使う人も多いのだ。
赤羽こそが東京北部の鉄道交通の要衝だった
ちょっとマニアックな話をすれば、埼京線の池袋~赤羽間は正式名称を赤羽線という。1885年、日本鉄道によって現在の山手線の一部である品川線が開業した当時、その区間は品川~赤羽だった。1883年に開業していた上野~熊谷間の路線と赤羽で接続したのだ。
現在の山手線の形、すなわち池袋~田端間が開業したのはずーっと下って1903年のこと。それまでは、赤羽こそが東京北部の鉄道交通の要衝だった。赤羽駅、味のある商店街だけではなく、その駅の歴史だけでも味がある。
2つの「赤羽」
ここで問題がある。赤羽にはJR以外にも駅があるのだ。名前は少し違うし、赤羽駅からも少し離れている。その名も「赤羽岩淵」だ。
東京メトロ南北線の北の終点にして、浦和レッズのホーム・埼玉スタジアム2002に向かう埼玉スタジアム線との境界駅でもある。朝夕はほとんどの列車が埼玉スタジアム線の終点浦和美園行きだが、日中は2本に1本は赤羽岩淵行き。南北線ユーザーならば「赤羽岩淵」の存在はまず知っているに違いない。そしてきっと、「赤羽岩淵って赤羽とは違うのかな、まあいいや」などと思って済ましているのだろう。
そうはいっても、そもそも南北線にも問題がある。沿線の皆様には毎度失礼しますが、東京の地下鉄路線の中でもいっとう地味な路線といっていい。どこを走っているのかを簡単に説明しつつ、今回の目的地の赤羽岩淵駅に向かうことにしよう。