「文藝春秋」4月号の特選記事を公開します。(初公開:2021年3月29日)
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「女性活躍を主張すればリベラル、左翼と批判される。いつの間に日本はこんな不寛容な社会になってしまったのでしょうか」
元防衛大臣の稲田朋美衆院議員(62)といえば、憲法改正、靖国問題などで積極的に発言する保守政治家と知られてきたが、ここにきて思わぬ逆風に晒されている。自民党内で女性活躍を推進するなかで「保守」を自称する言論界や団体から事実上締め出されてしまったというのだ。
きっかけは、2年前に同期当選の仲間とともに議員連盟「女性議員飛躍の会」(以下、飛躍の会)を立ち上げたことだった。
「『飛躍の会』の立ち上げから現在まで、私のもとに届くのは、『失望した』『左に転向したのか』という批判や罵倒の嵐。ある程度、覚悟はしていましたが、日本の政治に対する意識がいかに遅れているのかを身をもって感じ愕然としています」
「自民党の責任に他なりません」
行動の背景には、男性優位の政治が変わろうとせず女性議員が全く増えない危機感があった。
「長く政権与党にあった自民党の責任に他なりません。私が初当選した2005年の郵政解散選挙では16人の女性議員が初当選しました。女性でも能力があれば議員になれるし、この調子で女性議員は増えていくだろう。女性枠を設けるのは間違っている――そう考えていましたが、甘かった。この16年間で衆議院における自民党女性議員は、増えていないどころか5人も減っています」
稲田氏は、女性議員を増やすためにも憲法を改正すべきだと語る。