日曜劇場『GIFT』(TBS系)で、車いすラグビーチームをサポートする女性記者を演じているのが有村架純だ。20代から順調に活躍しているように見える彼女だが、意外にもそのキャリアは葛藤の連続だった。

有村架純 ©時事通信社

「役が掴めない」とマネージャーに泣きついたことも

 2013年の朝ドラ『あまちゃん』(NHK)で注目された有村のもとには、たて続けに主演級の役柄が舞い込むようになる。戦隊ヒロインを演じた映画『女子ーズ』(2014年)では、後に親友になる高畑充希と共演している。しかし、演技については自信が持てないままだった。

「大きな出会いだった」と有村が振り返るのが、主演した映画『ストロボ・エッジ』(2015年)の廣木隆一監督である。コミック原作だったため、役柄を作り込んできた有村に「余計なことをしなくていい」と伝え、感情を気持ちから表現することを厳しく教えた。『GIFT』でも共演している山田裕貴とは本作で出会い、演技について幾度となく語り合ったという。有村は廣木監督からの教えを今でも大事にしている。

ADVERTISEMENT

 それでも苦闘は続く。実話をもとにした『映画 ビリギャル』(2015年)では、自分とはまったく違う主人公のギャル像が理解できず、クランクイン前夜に「どうしても役が掴めない」と泣きながらマネージャーに電話をかけた。このときは撮影に入ることで、ギャルを内面から理解していくことができたという。

常に「自分との戦い」だった『ひよっこ』を乗り切る

 朝ドラ『ひよっこ』(2017年/NHK)では、脚本を手がける岡田惠和の熱望もあり、オーディションなしでヒロインの座を射止めた。朝ドラには有名人をモデルにした物語も多いが、高度成長期の「名もなき人たちの物語」である『ひよっこ』に“普通の人”の感覚を持つ有村はぴったりのキャスティングだった。

 地方から上京した少女を演じるため体重を5キロ増量して撮影に臨んだ。「太りやすい」という彼女にとって増量は苦ではなく、減量のほうが大変だったと明かしている。10カ月にも及ぶ撮影は、常に「自分との戦い」だった。

「『ひよっこ』の撮影中には、NHKの西口玄関までは行くものの、そこから足が進まず、玄関前で立ち尽くしたことがよくあって……(苦笑)。そんなときは、『こんなところで自分に負けちゃダメ!』って言い聞かせながら、足をトントンたたいて、何とか乗り切りました」(週刊朝日 2018年12月7日号)

 クランクアップ時には感極まって涙を流した。共演した木村佳乃、沢村一樹、佐々木蔵之介ら諸先輩たちがスタジオに駆けつけ、それぞれ有村への賛辞を口にしている。『ひよっこ』は好評のうちに終了。20代半ばとなり、ここから女優として大きく羽ばたくはず。誰もがそう思った。しかし、葛藤はまだ終わっていなかった。