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描きたかったのは進さんよりもむしろ…?

――そういう女性の“成長”みたいな部分は作中でも多く描かれているように感じます。

安堂 この作品に限らずでもあるんですけど、“強い女性”を描きたいという思いはずっとありました。一言で「強い」といってもいろんな要素があって、精神的なものだったり、生き方に芯が有ったり…ということだと思うんですけど。もちろん弱い部分があっても良いんですけど、そういう女性の強い部分を描くことはいつも大事にしています。

 作中に朱美というお店の人気ナンバー1の関西弁キャラが出てくるんですけど、編集さんに「この人、いい女ですよねぇ」と言われたことがあって。それがすごくうれしかったんです。朱美は内面も包み隠さない明け透けなキャラクターですし、いざというときは頼れる。周りにも媚びないし、自分の憧れの投影みたいなキャラなんですけど「やっぱり読者から見ても良い女に描けているんだな」と思って…そういう意味で朱美はこの漫画の中では一番好きなキャラクターですね。

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お店のナンバー1でもある朱美は安堂さんの「憧れの投影」とのこと

変わらなかったからこそ、進さんの良さが出た

――確かにそう言われると主人公の進さんよりむしろ、女の子がメインとなる話が多いですよね。

安堂 女の子たちの手助けを進さんがしている…というイメージですかね。進さん自身も成長はしているんですけど、女の子の強さとかたくましさに感化されて「ヨシ、自分も頑張ろう」と思っているところがあるんだと思います。

 これまでの会社員生活から風俗という「違う世界」に来たからと言って、進さん自体が大きく変わったわけじゃないんですよね。もともと勤めていた衣料メーカーの会社で一生懸命、真面目に働いていたから、それがそのまま別の場所でも活かされた。個人的にはだからこそいいんじゃないかなと思っています。突然入った夜のお店で、急に適性を抜群に発揮する方がちょっと嫌でしょう(笑)。

 進さんって本当に真面目で優しいんですよ。だからこういう人に報われてほしいという気持ちも私の中にはあります。