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――下山田さんと内山さんは吸収型ボクサーパンツでそのタブーを破ったわけですが、変われたきっかけはありますか。

下山田 ドイツのチームに所属していた時、チームメイトが普通に「生理痛なんで今日練習休みます」と言っているのにびっくりして。組織ファーストでなく「自分ファースト」でいいんだとはじめて気づいた瞬間でした。

 それまで日本では、どんなに生理用品に不快感を覚えても何も変えようとしなかったり、生理痛だったら自分が我慢をして、冷や汗をかきながら練習していたわけです。その時の自分はすごくつらかったはずなのに、それをあたり前だと思ってきたんですよね。

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©深野未季/文藝春秋

 でもドイツに行ったことで自分がずっと「あたり前」として蓋をしてきたものが全部崩壊して、今こうして声があげられるようになった。ちなみに自分がタンポンを使えるようになったのも、ほぼタンポン使用率100%だったドイツの環境のおかげです。

血を見る度、「お前は女だ」と言われているような気がして嫌だった

――「OPT」を開発したことで生理に対しての向き合い方に変化はありましたか。

内山 自分はタンポンを入れるという行為が生理的に無理で、いまだにナプキンユーザーです。今は現役を引退しましたが、試合の日に生理が重なると本気で萎えました。生理自体も本当に嫌で、今でもこなきゃいいのにと思うほどです。

 でも吸収型ボクサーパンツを開発したことで、いい意味で生理を受け止められるようになったと思います。私のように生理に嫌悪感を感じている人にも、選択肢のひとつとして試してもらえたらと思いますね。

下山田 自分のジェンダーやセクシュアリティが確立していなかった学生時代、生理は本当に苦痛で仕方のないものでした。毎月血を見る度、「お前は女だ」と言われているような気がして嫌だったんです。

 だけどカミングアウトもして、自分は自分だということを確信できるようになった今は、むしろ「うまく付き合ってやるよ」くらい、肩の力が抜けるようになりました。さらに「OPT」という選択肢を作ったことで、自分への向き合い方をもうひとつ作ったくらいの感覚でいますね。

©深野未季/文藝春秋