1ページ目から読む
2/4ページ目

 店を何度か移り、ある店でついにナンバー1になった。

「お店からの月給だけじゃなくて、チップのようなお金もたくさん頂きました。ちょっと深いお付き合いになった方から1000万円をいただいたりとか……。ただ、出ていくお金も多かったですね。知り合いがお店を出したいとか、お得意さんの事業が危ないとかで、お金を融資したり……まぁ、戻ってくることはほとんど無かったですけど。あとは、店の若いコに貸すことも多かったですね。

 お店の女の子に詐欺師みたいな人に付きまとわれて困ってると相談されて間に入ったら、今度は私がターゲットにされたこともありました。絵を買ってくれということなんですけど、もうあまりにもしつこいし、面倒なので結局買ったんですよ、300万で。よく考えてみれば、その女のコと詐欺師はグルだったんですよね……」

ADVERTISEMENT

 たくさん持っていたはずのお金は「銀座のホステス」という肩書を守るためにいちばん使ったという。

「銀座で働いていると、いろんな繋がりができるんですよ。それでお得意さまに季節ごとに贈り物をしたり、おめでたいことがあればご祝儀も出しますし。あと、役者の方が舞台をやるといったら、チケットをまとめて買うとか、講演会をやるとなったら、その費用を出すとか……。けっこう稼いでるはずなんですけど残らないから、私はお金を貯める力がないんだなって思ってました」

 順調に夜の世界を上り詰めていった中田さんだが、あることをきっかけに転落していく。

「私が38歳の頃ですね。某プロ野球チームの監督をしていた方と知り合って、いわゆる不倫になってしまったんですよ。最初はパーティで知り合って、お礼状を書いたら電話がかかってきて『試合を見に来ないか』と。それで最初に大阪に行ったときは何もなかったんですけど、次は『名古屋来れる?』と言われて、行ったらヒルトンホテルに部屋を取っていて、そういう関係になって……。

 結局そういう関係は3回だけでした。男の人って3回までは遊びっていうじゃないですか。だから、きっちり3回だけで終わった……。でも私は思いが募ってしまって、勝手に遠征についていったり、夢中になってしまったんです。そんなことをしてるとお店も休みがちになって。お客さんも、私がいないと他のコに目移りするじゃないですか。それでお得意様がどんどん減って……」

 年齢的にも、ホステスとして曲がり角の時期だった。