首都圏を中心に発令された緊急事態宣言が、さらに1カ月延長された。飲食店は20時までの営業短縮を要請されており、静まりかえった繁華街の佇まいは、もはや令和3年の日常風景となりつつある。

 深夜の時間帯になると、看板が灯っているのは、キャバクラや風俗店、そしてホストクラブがほとんど。昨年の緊急事態宣言時には一部の店舗でクラスターが発生し、不要不急の代名詞としてやり玉に挙げられていた「夜の街」関連が多い。

 こうした店舗は自粛に伴う協力金をアテにせず、世間に背を向けて営業を継続しているようにみえる。そんな夜の街の象徴、新宿歌舞伎町の現役ホストに2度目の緊急事態宣言についてどう思うのか話を聞いた。(取材・文=素鞠清志郎/清談社)

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緊急事態宣言下でも盛況な夜の街

「この事態でも、ホストクラブは特に変わらないですね。お客さんの数もそんなに落ちてないし、売上も安定してます。コロナに関しては、僕のまわりでは感染者も出てないし、そんなに気にしてる人もいない。今回、緊急事態宣言が延長されましたけど、特になんとも思いません」

※この画像はイメージです ©iStock.com

 爽やかな笑顔の中に男臭い雰囲気を秘めながら、率直に話してくれたのは、歌舞伎町のホストクラブで幹部を務めている、鬼龍院夢希さん(仮名・26歳)。21歳で夜の世界に飛び込み、5年半の間ホストとして生きてきたという。

「ウチの店は、歌舞伎町ではいわゆる『大箱』クラスになります。店の大きさは、満卓でだいたい35~45人くらいは入りますけど、いまはソーシャルディスタンスを意識して、そこまでお客さんを入れてません。従業員はホストが20人ほどで、裏方や内勤も含めると40人くらいかな。去年の緊急事態宣言中は、自粛して2週間は店を閉めましたけど、今回は特に短縮もせず、通常通り19時から夜中1時まで営業してます」

 通常営業するからには、感染対策も万全にしていると胸を張る。

「感染対策は、初期段階からガイドラインに従ってキッチリやってます。店舗の消毒とか、うがい、手洗いの徹底とか基本的な対策は続けているし、抗原検査もスタッフ全員受けました。お客さんに対しても、入り口でちゃんと検温したり、体調が悪かったらその時点で店に来ないでって言ってます。

 そもそもですけど、ホストクラブに来るお客さんってほとんどが常連というか、みんな顔見知りで、連絡先もわかってるんですよ。だから、体調悪いとか、そのコのまわりで感染者が出たとかの情報も把握できるし、なんなら『いまは来ないで』って断ることもできる。不特定多数が来るクラブとかよりも、よっぽど安心だと思いますけどね」