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「今はチャットレディの収入でなんとか…」銀座ナンバー1ホステス、“転落”の顛末

2021/05/02
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「歳を重ねると、お客様の年齢層も60代くらいに上がってきて、そうなると会社を退職されてお店に来なくなるんですよ。私を指名してくださるお客様もどんどん減りました。

 なので、ちゃんと美容室に行って着物を着ていっても席につくところがない。手持ち無沙汰なので、どこか喫茶店とかで待機していてもいい? とお店に提案したら『近くにいると困るのでお客さんが来ない時は家にいて』と言われました。お店に出るために着飾った状態でひとりで自宅にいるのは、精神的にキツかったですね」

 客が減ると、当然のように売上も減っていく。

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「最初はわからないんですよ。あれ、今月ちょっと調子悪かったな、谷間の時期なのかなって。そういう時にはお客さんをお店に呼んで、私のお金で払うんです。そうすると名目上は指名も入って、売上もキープできる。でも、タコが自分の足を食べてる状態というか、10万円飲んでもらったら、私に入るのは3万5000円くらいなので、6万5000円が持ち出しになっちゃう。でも、当時は判断能力がなくて、そんな営業ばかりしてましたね」

 

 やがて、精神的にも追い詰められていってしまった。

「そうやって窓際に追い込まれちゃうと、人間って鬱になるんですよ。どんどん悪い方向に考えて、精神的にもおかしくなってきて、お店にも行ったり行けなかったりの状態になりました。すると『今日休ませてください』という連絡を毎日するのが面倒くさくなって『行けるようになったら行きます』という状態になって、そのままフェードアウト。18歳から25年間、43歳でホステスを廃業することになりました」

 ホステスを辞めても、お客さんとの関係は続いた。

「以前からお客さんに相談したり、助けて貰ってたんですけど、『辞めたんなら、どう?』みたいなお誘いがあって、月20万円いただける愛人契約をしました。同じ条件で契約した方がもうひとりいて、月40万円の収入。でもぜんぜん足らなかったです。生活レベルを落とせないというか、生活力がない。スーパーで何が安いとか、そういう知識もぜんぜんないんです。ホステス時代からのお客さまの講演会やチケットのようなしがらみで出ていくお金もまだあって、どんどん借金がかさんでいって……」