40~60代の女性が注意すべきがんは死亡率がもっとも高い乳がん
死因 : 乳がん
厚生労働省が発表した「平成29年(2017) 人口動態統計(確定数)の概況」によれば、日本人の死因の1位は「悪性新生物(がん)」、2位が「心疾患」、3位が「脳血管疾患」、4位が「老衰」、5位が「肺炎」だという(男女の総数による順位)。そのうち、がんで死亡した男性は22万398人で、女性は15万2936人だった。
国立がん研究センターが発表した「がん統計予測」によれば、女性の「がん罹患数予測 (2019年)」は44万4600人。うち、「乳房」が9万2200人でもっとも多く、「大腸」6万6300人、「胃」3万9900人、「肺」 3万9600人、「子宮」2万6800人と予測されている。「がん死亡数予測(2019年)」を見ると、女性は「大腸」2万5100人、「肺」2万2200人、「膵臓」1万7800人、「胃」1万5500人、「乳房」1万5100 人となっている。一方で、同研究センター「最新がん統計」の年代・部位別がん死亡率(2017年)では、40~60代の女性のがん死亡率は「乳房」が1位、つまり「乳がん」がもっとも高いと報告されている。
もちろん、がんが発見されたからといって、必ずしも死に至るわけではない。がんの種類によるが、まず重要なのは早期発見と適切な治療だ。生存率も年々上がっている。がんを完全に取り除くことはできなくても、治療を受けながら生活を続けられるケースも増えてきた。
なかでも乳がんは、早期発見と治療による完治率が高いといわれており、乳がんは5年相対生存率が92・5%と、5大がんの中でもっとも高い数字となっている(国立がん研究センター「がん診療連携拠点病院等院内がん登録 2009年から2010年5年生存率」より)。
だが、楢原さんはがん性皮膚潰瘍ができるまで乳がんを放置していた。
がん性皮膚潰瘍は、出血や滲出液(組織や細胞からしみ出た液体)、痛みのほかに、傷に細菌が感染して生じる独特な臭い(がん性皮膚潰瘍臭)を伴う。時に放射線治療によって起きることもあるのだが、楢原さんのそれは“治療の結果”とは明らかに異なっていた。「自分の体に大変なことが起きている」ということは、誰よりも本人が一番よくわかっていたはずだろう。