裏付けのない政策は単なる思いつきでありイソジンでありK値
また、いくら処理した水が希釈されていても、元の放射性物質は一定量存在するのだから、そんなものは放出しては駄目だ、と量や濃度の問題を抜きにして絶対量で否定する人も一定数出てきます。味噌汁を味わうのにお湯でとかない味噌を生のまま口に入れる人はいないのと同様、人体に影響のない濃度にまで薄めて処理し、それを放出するのだということを何度言われても「放射性物質は怖い」という先入観や「東京電力は信用できない」という嫌悪感で立ち往生する人が声高に暴れることで政治に働きかけます。そういう人に対する配慮をした政治が科学を押しのけて「安心・安全に不安がある」と騒ぎ立て、「福島沖の漁業に対する風評被害があるかもしれない」と科学的にはない問題をでっち上げて適切な処理に反対をすることになるのです。
もちろん、ワクチンが如何に合理的で価値があると言っても、過去にはB型肝炎ウイルスの混ざったワクチンが引き起こした健康被害だけでなく血友病患者の皆さんを苦しめた薬害エイズの問題はあり、同様に科学的には大丈夫だと見切り発車の末に壮大な税金の無駄遣いとなり立ち往生となった核サイクル施設「もんじゅ」の例もあります。科学とて、適切に使われずチェックも行われなければ万能どころか社会に対する凶器になる面はあります。
しかしながら、おそらく科学的に正しいであろう、根拠があるだろうという政策を見定め、政治が責任もって実行して初めて、政治は社会に対して責任を果たしたとも言えます。裏付けのない政策は単なる思いつきであり、イソジンでありK値なのです。
そのK値とかいう根拠不明の数値を提唱し、大阪府の感染症対策の中枢に据えてしまった中野貴志教授が、問題事案の責任を取るどころか大阪大学が新設した吹田キャンパスの感染症総合教育研究拠点の一部門の責任者に出世してしまうという事態まで出てきました。これはもう、科学の敗北とでも言うべき事態だと思うんですよね。本当に大丈夫なのでしょうか。
然るべき科学リテラシーを弁えて政策課題に取り組んでもらう他ない
政治家には然るべき科学リテラシーを弁えて政策課題に取り組んでもらう他なく、きちんとした学識を持った人が脇を固めて政治をしっかりと補佐する他ないんじゃないかと思うんですよね。
もっとも、アメリカの名門大学スタンフォード大学の博士号を持つ元総理大臣が、一連の処理水海洋放出を行う政府方針を意味不明の理屈で批判して、ネット上で炎上したりもしていました。鳩山由紀夫さんって言うんですけど。
脱原発の集会で、小泉さんの講演の後一言話す機会を得たので、脱原発、脱化石燃料で2050年にカーボンニュートラルの日本にできることを試算したことと、実験室段階ではトリチウムを除去する技術は成功していることを話した。トリチウムを含んだ汚染水の海洋放出は避けられるのだ。政府よ、目を覚ませ。
— 鳩山友紀夫(由紀夫)Yukio Hatoyama (@hatoyamayukio) March 12, 2021
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ついにこの日が来てしまった……。文春オンラインの謎連載、特にタイトルがあるわけでもない山本一郎の痛快ビジネス記事が待望の単行本化!
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