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「LINE問題」が、有識者総立ちで安全保障案件になるまでの解説

情報保全の在り方をきちんと考える機会になるのか

2021/04/08

 日本人8,600万人というLINE利用者の個人に関する情報が中国や韓国に出て行ってたという、朝日新聞の峯村健司さんらがぶっ放した大ネタがいまなお騒動になっております。

 そもそも、ヤフージャパン社とLINE社とが経営統合してZホールディングス(ZHD)社になる、というだけである種の悪魔合体的な雰囲気だったんですが、問題勃発の当初はZHD社が公式には「規約上の不備」であるとして、あくまで規約の書き方が不適切で、利用者への説明が不十分だったというかたちで問題の矮小化を図ったため、「そんなわけあるか」と有識者が総立ちになったのは記憶に新しいところです。

日本の安全保障問題のど真ん中

 ところが、この問題は「俺たちのLINEに入れといた個人情報が中国や韓国に漏れちゃったぞ大変」というような単純な構造ではないために、何をどう対処しなければならないか整理されないまま大騒ぎになってしまいました。

©iStock.com

 もともと韓国企業であったLINE社が、日本人を含むユーザーの情報(画像、動画、LINE Payの決済情報など)を韓国のサーバーに暗号化せず置いておいたり、国際的な情報保全の仕組みを導入しているはずなのに謎の中国人技術者4人が利用者同士のトーク内容を閲覧可能な状態になってたり、インハウス(企業が雇用している)弁護士が日本で一番多い部類のヤフージャパン社とLINE社との経営統合に際してのデューデリジェンス(法的な事業内容の検査、精査)が行われているはずなのに、この問題が見逃されたまま経営統合が強行されちゃったりと、ツッコミどころは山ほどあります。

 ただ、問題勃発から半月ちょっと経過してなお爆心地から黒い煙が上がっている理由は、一連の「LINE問題」が実は日本の安全保障問題のど真ん中に位置する要素てんこ盛りだったからです。「単に俺たちの情報が中国や韓国に」という話から、何を問題視すべきで、どう理解し、何を考えればいいのかについて、改めて整理していきたいと思います。

この問題は4つの階層に分けられるステキ事案となった

 本件「LINE問題」は、各所でも指摘されてきたように、7年以上前から「問題だぞ」と言われ続けてきたものです。朝日新聞が上手いこと事実関係を確認して一面でドーンと打ってくれたので、ようやく世の中に知れることになりました。ありがとう朝日新聞。

 で、LINEが利用者の個人に関する情報を流出させた件で大前提になるのは「情報漏洩で実害があった」ことだけではなく、「第三国(中国や韓国など)が情報を閲覧しようと思えばできる状態にあった」ことにあります。中国や韓国の政府機関や情報部門などに「何を見られたか」ではなく「見られる状態にあった」だけでアウトです。

 んじゃあアメリカ資本であるFacebookやGoogleが個人所法を漏洩させたらどうするのか、中国や韓国だけの問題なのかという話になりますが、Facebookだろうがどの会社だろうが、情報漏洩はどこの国の企業であろうがやっぱり問題になります。当たり前ですね。