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「LINE問題」が、有識者総立ちで安全保障案件になるまでの解説

情報保全の在り方をきちんと考える機会になるのか

2021/04/08

外国政府にデータ保全状況を保証させる制度

 今回の件では、暗号化されない日本人の個人情報が韓国のデータセンターに置かれるにあたり、日本の自治体が住民票発行などの窓口としてLINEを利用することがすでに一般化してしまったものの、LINE社は自社の主たるデータセンターが韓国にあったことを説明せずに利用が広がりました。これが、韓国政府(その関連機関や情報部門を含む)がどこまで閲覧していたのかを、あずかり知らぬ日本側が「教えてください」とご相談にお伺いしたところでシラを切られたら終わりです。

 よって、欧州(欧州データ保護会議;EDPB)でも、そのような外国政府による情報のアクセス(ガバメントアクセス)については、外国政府にデータ保全状況を保証させる制度を検討しています。韓国政府も一応EUの情報当局から「十分性認定」を受ける可能性はありますが、これは欧州との間の話であって、日本人の情報が守られるとは限りません。長らく韓国と北朝鮮のようなステキな隣国と付き合ってきた私たち日本人は、彼らが本当のことを言ってくれる保証などどこにもない、信じられるのは力だけだ、という世紀末な状態であることをよく知っているので、たぶんこの枠組みは機能しないであろうことはなんとなく予想がつきます。

 また、中国は中国で国家情報法がある限り「私たちは平和と繁栄を求める健全で穏便な国家です」とかいう赤ずきんちゃんに出てくる狼みたいなことになることは明確であるため、データ処理や開発費用が安くなるからと言って、このような国々に進出してユーザーの個人情報を触らせるようなことをしては駄目ですよということはジャンジャン警鐘を鳴らす方がいいと思います。

重要情報インフラの防護という問題

 最後に、(4) 重要情報インフラの防護という問題があります。こりゃまあ要するに安全保障議論の本丸なのですが、LINEもまた、アプリとして日本人に欠かせない情報インフラとして内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)に指定されているものです。同様に、LINEモバイル(LINEMO)も含めて電気通信事業者で、またLINE Pay、LINE証券では金融(資金決済)事業者で、さらにLINEヘルスケアは個人の医療情報という機密情報を扱っています。

 電気通信事業者は総務省の、資金決済や証券事業は金融庁の、健康情報は厚生労働省の管轄下で国民の情報を取り扱い、各自治体では行政情報も取り扱っているという点からも、まさに国家の重要インフラをこの韓国資本であった企業は長らく担ってきたのです。

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 この安全保障上、極めて大事な重要インフラ防護について、実は長いこと韓国資本だったんだよというのは盲点であり続けました。ボク言いましたよね。いままさに、ガースーご長男が勤務しておられた東北新社が外資規制比率が20%を超過していて無事に免許取り消しになったりしていましたが、この放送事業もまた、重要インフラだからこそ外資規制がしかれているのであって、文春砲を全身に受けて木っ端みじんとなった東北新社の放送事業には心よりお悔やみ申し上げます。

 とはいえ、じゃあ「安全保障上は大変な問題だから、重要インフラをすべて国産で」なんてことができるはずもない。お前らがいまこの記事を読んでいるスマホは、中に入っているチップやメモリは、OSは、通信を支えているサーバはAmazonかもしれないグーグルかもしれない、しかし部品は村田製作所が、一部素材は旭化成や東レが、光学モジュールはキヤノンやソニーが支えているかもしれない、俺たちのアルプスアルパインやTDKに日東電工も頑張っているという、お互い信頼できる国同士が助け合って部品やソフトウェアを供給し合う、サプライチェーンによって成立しているのです。