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――周囲の方々の声を参考にするようなこともあるんですか。

高畑 ありますね。雑誌の編集長がちょうど作中のキャラクターより少し上の年齢の子持ちなんですけど、子どもの行動とか、口調とかは結構、指摘されました。どうしても自分が大人なので、自分のやりたいようにキャラを動かしてしまう。最初は大人が子供に演技させているみたいになってしまうことが多くて。子どもはもっと無邪気だし、もっと言うこと聞かない。もっと大人とは違うことを考えている。そういう部分はダメ出しというか、リテイクが多かったです。

男親が子育てをするときに感じる「アウェイ感」

――実際に幼稚園の取材も行かれたと聞いています。

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高畑 実際に行ってみて思ったのは、父親にとっては正直、幼稚園がアウェイというか、まだまだ男親の子育てが一般的になっていないんだなということでした。結構大きい幼稚園だったんですけど、取材に行った日に園児のお迎えにきたのは全員がお母さんだった。僕も編集者も男性だったので、すごく肩身が狭い感じがしたというのが正直な感想で。

「なるほど、男親ひとりの子育てというのは、こういう空気感とも戦わないといけないのか…」というのはすごく思いました。最近はよく「道端で迷子になっている子にも声をかけづらい」という話もあるじゃないですか。それを実体験した感じです。そういう違和感みたいなものは、作中にも活かしています。

©文藝春秋

コメディとしての面白さとリアルさのバランスが重要

――そういったリアルな要素をちりばめる一方で、フィクションとしての面白さは追求しないといけない。その辺の匙加減は難しいですね。

高畑 そうですね。毎回日常のアホな事をやっていると、それだけでは飽きられてしまう。でも、リアルな親子の育児エピソードのような良い話ばっかりやっていると、それはそれで単なるお涙頂戴になってしまってつまらない。コメディ感のバランスはすごく難しいです。その辺は客観的に見てくれる編集者の意見も聞きながら調整している感じです。