受験に必要なのは根気とテクニック
このドラマ、いま振り返るとセリフも描写もNGなものが多い。長澤まさみも山下智久も小池徹平も新垣結衣もサエコも中尾明慶も、揃ってバカと書かれたハチマキを巻いて授業を受けている衝撃的な画は、いろんな意味で現在では絶対に撮ることが不可能だといっていい。
また、画期的だったのが、受験に挑むにはテクニックと情報を知れと教えてくれた点である。
特進クラス設立に戸惑う他の教師や債権者に向かって、桜木は「みなさんは、いまの受験の世界を知らないから東大と聞いただけで難しいと思うんです。たしかに、一昔前の受験地獄と言われた時代は大変でした。しかし、いまの東大は、実は非常に入りやすくなっている。子供の数が減少するなか、定員3200名の東大はかなり大きい大学です。合格平均点も年々下降してますし、もはや雲の上の存在ではありません」「受験に知能はさほど重要ではありません。必要なのは、根気とテクニックです。周到な戦略のもと、しっかりとした訓練を積めば、十分に合格可能なんです」と言い切ってみせる。
受験に限らず、情報を知らないとバカを見る
本作のキモであるので未見の方のためにも細かくは触れないが、この場面以降から繰り出されるテクニックと情報には東大受験のイメージがガラリと変わったし、東大にかかわらず大学受験においても、社会に出て生きていくうえにおいても情報を知らないとバカを見る。これこそが『ドラゴン桜』のテーマなわけで、第1話のラストで桜木が全校生徒にぶつけるセリフ「(なにも)知らずに放り出されたお前たちに待ってるのは、不満と後悔の渦巻く現実だけだ」に繋がる。
たしかに俺もなにも考えず、なにも調べずに、ただホゲーッと受験しただけだった。そんなノリのまま、いまのいままで生きてきたんだなと教えられた気がした。
で、どうなったかというと学歴コンプレックスはぜんぜん消えていない。そんな俺だから、16年ぶりとなる『ドラゴン桜』の続編は絶対に観る。俺のコンプレックスを消してくれるか、楽しみにしたい。