初夏の風に揺れる青葉燦然たる。新緑の季節を迎えた仙台。杜の都と呼ばれるに相応しい季節がやって参った。
この季節を彩る大きな祭り、「仙台青葉まつり」をお主は存じておるか? 仙台青葉まつりは伊達政宗様の御命日5月24日に合わせ、5月第三日曜日(本まつり)とその前日(宵まつり)に開催されており、仙台青葉まつりの前身である仙台祭は江戸時代まで遡る。
歴史ある大祭、仙台青葉まつりは政宗様が仙台城築城の折、宴の席で石工職人たちが踊ったものが起源と言われておる「すずめ踊り」の乱舞、甲冑武者行列、豪華絢爛な山鉾の巡行、郷土芸能等が披露される舞台、宮城の食や酒、物産が並ぶ出店など……老若男女問わず楽しめる祭りじゃ。勿論、我ら伊達武将隊も毎年出陣致し、甲冑武者行列参加や舞台上で演武などを行い、市民がつくる市民のまつりである仙台青葉祭りをともに盛り上げておる。
しかし、今年も新型コロナウイルスの影響により開催中止と相成り申した。無念。来年こそは皆々とともに盛大に執り行える事を祈っておる。
観光の話はここまでとし、野球の話を致そうか。群雄割拠の戦国時代と同じく、取っては取られと激しい混戦となっているパ・リーグ。順位表を見てもわかる通り、どのチームが極めて強く頭一つ抜けているわけでは御座らぬ。上位から下位まで差が無い、まさに団子状態じゃ。我らが東北楽天ゴールデンイーグルス、上位には居るものの、首位独走状態に至らず上がり切れない隔靴掻痒状態。
この上がり切れない要因は何か。イーグルスファンに問えば開口一番に出てくるであろう。うむ。いかにも!! 「打撃力」じゃ。
現状、イーグルスのチーム打撃成績は……
チーム打率.236のリーグ5位。得点181、安打353、本塁打36、長打率365。※5月21日終了時点
打線は水物とよく申すが、幾度となく好機に凡打が続いてしまうと「何故じゃーーーーっ!!」と天を仰いでしまう。選手たちが身命を賭して戦っているのは重々承知。されど、物足りなさは成績を見てもわかる通り否めない。投手陣はリーグトップクラスの成績を残し、良き状態を保っているだけに野手陣との噛み合いが上手くいかない現状に頭を抱えてしまうのじゃ。
「あの場面で適時打を打ち放っていたら……」
「せめて犠飛で1点取っていれば……」
スポーツの世界においても「たら れば」は御法度。だが、言わずにはいられない。今季リーグ優勝&日本一を目指すイーグルスにとって打撃力向上が今最も必要な要素である故に。
決定打が出ない犬鷲打線。今こそ銀次殿が必要な時
わしは日々思う……
「あの漢が打線に入っていたら……」と。
東北の安打製造機、背番号33、わしのMyHERO銀次殿じゃ!!
岩手県下閉伊郡普代村出身。海と山の豊かな自然に包まれた村で育った銀次殿。野球好きの祖父の影響で野球を始め、小学3年生時に普代村野球スポーツ少年団に入団。小学6年生時には東北大会準優勝に輝く。盛岡中央高校硬式野球部に入部後1年生時からレギュラーとして出場。左翼手から三塁手を経て、2年生時の夏から捕手に転向。高校最後の夏の大会では打率.750(24打数18安打)という驚異的な記録を残す。同年2005年高校ドラフトで楽天イーグルスから3巡目指名を受け、イーグルス入団。自身の苗字「赤見内」を登録名にと考えたが、当時監督を務めていた野村克也殿より呼びにくいと言われ「銀次」となる。2012年に島内宏明殿、岡島豪郎殿などとともに星野チルドレンとしてレギュラー定着。2013年イーグルスが日本一を掴んだ折には3番打者として4番AJ殿、5番マギー殿とともに強力クリーンナップを形成。2014年には糸井殿(現タイガース)と激しい首位打者争いを繰り広げる。その後もチームの主力として第一線で活躍。
スタンス広めで腰を落とし、ヘッドを立てて上段に構えるフォームは武士が刀を構えているかのような雰囲気を感じ申す。巧みなバットコントロールで広角に安打を打ち放つ球界を代表する安打製造機であるとともに、控え捕手が居なくなり急遽マスクを被って盗塁阻止をやってのけたり、サヨナラ死球を受けたり、サヨナラバスターを決めるなど、何かを持っているお祭漢でもあると申して良いであろう。
かように見事な経歴を持つ銀次殿じゃが、昨季は鈴木大地殿の加入もあり、88試合出場(過去5年で最少)で打率は.236(規定打席未到達)と持ち味を発揮出来ず人一倍悔しさを味わった。
レギュラー奪還という強い意志を持ち臨んだ今年の春キャンプでは全体練習前に早入りし、入念なフォーム確認と速球への対応力強化、守備の名手と呼ばれた奈良原浩内野守備走塁コーチの特訓も受けた。合間には後輩選手たちへの指導も抜かりなかった銀次殿。オープン戦は.227打点1と成績こそ良くはなかったものの首脳陣の信頼を得て、開幕1軍を迎える。