「生乾きの臭い」「黄ばみ」「シワ」「シミ」……。洗濯についてそうした悩みを持つことは決して珍しいことではない。なぜなら、多くの人は“正しい洗濯のしかた”を教わってきていないからだ。

 そんななか、毎日の洗濯を楽しくハッピーにするための活動を行うユニット「洗濯ブラザーズ」が執筆した『日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術』(アスコム)が人気を博している。クレイジーケンバンドや有名劇団の衣装クリーニングも担当する“洗濯のプロ”が語る、悩みを解消するちょっとした工夫とはいったいどんなものなのだろう。ここでは同書の一部を抜粋。意外と知らない洗濯のポイントを紹介する。(全2回の2回目/前編を読む)

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水の量が少ないと、汚れが繊維にもどってしまう

 クリーニング業に携わっている人たちの間で、よくこんな言葉が交わされます。

「家庭では、キレイなすすぎはできないからね」

 すすぎに対する本気度が、プロと家庭とでは大きく違います。

 何が違うのかというと水です。水の質と、水の量。

 近ごろ、「オゾン水」という特別な水で洗うクリーニング屋も増えてきました。オゾン水は、それ自体に殺菌・漂白効果があり、洗浄力の高さと、繊維へのやさしさを兼ね備えている理想的な水です。

 ただし、家庭でこれを真似るのは、とても難しいです。高額な設備が必要です。

 でも、水の量なら変えられます。

 ほとんどの人が、全自動洗濯機を使っていると思います。

 全自動洗濯機は洗濯槽にセンサーがついていて、洗濯物の重さと体積を測って、自動で水の量を計算し、スタートボタンを押すと水がジャーッと流れてきます。

 とても便利ですが、「汚れをしっかり落とす」という観点では、この便利さが仇になっていると言わざるを得ません。

写真はイメージです ©iStock.com

 なぜなら、日本の洗濯機は自動的に節水モードになっているからです。ボクらプロから見ると、圧倒的に水の量が足りないのです。

 節水はとても大切なことですが、洗いの段階で水が少ないと、汚れがしっかり浮き上がってくれません。

 さらに、肝心なすすぎのときに水が不足していると、せっかく離れた汚れが、また繊維に戻って(!)しまいます。

 部屋干しのイヤな臭いや、黄ばみ、黒ずみは、このせいで起こります。