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来日し「ハズレ」を引いた外国人は命を落とすことも…在留外国人、そしてミャンマーのために、今私たち日本人ができること

映画『海辺の彼女たち』藤元明緒監督インタビュー#2

2021/05/01
note

行き場を失った外国人が情報を得る重要なツールは

――ベトナム人支援の拠点となっているお寺には、亡くなった多くのベトナム人の供養塔があるそうですが、お寺にたどり着いてから亡くなったかたもいるのでしょうか?

藤元 シェルターで亡くなった人がいるというのは、僕は聞いたことがないですね。供養塔の位牌については、すでに亡くなった人の位牌を、友人や知人のかたが持ってくるらしいです。

映画『海辺の彼女たち』より ©2020 E.x.N K.K. / ever rolling films

――「日越ともいき支援会」の拠点は東京にありますが、技能実習生や失踪したかたは、地方に多く存在すると聞きます。

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藤元 そうですね。地方にいる人が多いようです。そして駆け込む先は「日越ともいき支援会」や「カトリック川口教会」のようなシェルターの場合もあるし、友だちの家という場合もある。行く先にはいろんなグラデーションのコミュニティがあって、どこにどう落ち着くのかはさまざまですね。

――どうやって外国人のかたがシェルターの情報を知ることができるのでしょうか?

藤元 通常の検索エンジンでは、あまり出てこないです。SNSの情報が、かなり重要だと思います。フェイスブックとか。ただ、そういうページにもブローカーが潜んでいたりもしますから……。

――SNSにも罠があるんですね。

藤元 ありますね。そんな中、無事シェルターにたどり着けた人は、ごはんが食べられて、安全に過ごせます。もちろん仮の措置ではありますが。

 

――ベトナム人の支援活動をしている「日越ともいき支援会」の拠点同様、ミャンマー人を支援する「増上寺」も港区にあるんですね。

藤元 「日越ともいき支援会」の拠点と増上寺は、同じ宗派で関係が深いんです。距離も歩いて5分~10分かからないくらいで、近い場所にあります。