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来日し「ハズレ」を引いた外国人は命を落とすことも…在留外国人、そしてミャンマーのために、今私たち日本人ができること

映画『海辺の彼女たち』藤元明緒監督インタビュー#2

2021/05/01

 近年、社会問題として注目されている、外国人技能実習生の劣悪な労働環境。この題材をモチーフにした映画『海辺の彼女たち』が5月1日から公開される。監督は、在日ミャンマー人の移民問題を描いた前作『僕の帰る場所』で、東京国際映画祭「アジアの未来部門」グランプリを受賞した藤元明緒氏。自らリサーチを重ねた外国人労働者たちの実話をもとに描いており、圧巻のリアリズムが特徴の作品となっている。

 前編に続き、後編では、映画作品のために監督が取材を行なった外国人失踪者や、失踪者が駆け込むシェルターなどのお話をうかがっていく。さらに、妻がミャンマー人である監督に、現在不安定なミャンマーの情勢についてもお話しいただいた。(全2回の2回目/#1を読む)

藤元明緒監督

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困窮した在留ベトナム人の受け入れを行なっているシェルター

――ベトナム人の支援活動をしていることで知られている寺院・日新窟(※)を拠点にするベトナム人支援シェルターにも、取材に行かれたそうですね。

藤元 はい。「日越ともいき支援会」(※)です。取材もさせていただいたのですが、映画を撮るときには神社で祈願してもらう慣習があるので、僕らのクランクイン前日にはお寺でお祈りをしてもらいました。

※ 支援等の問合せは、日新窟ではなく「日越ともいき支援会」へお願いします。(電話 03-6435-6644 公式HP https://nv-tomoiki.or.jp/

――そちらのシェルターで集中的に、失踪したベトナム人の取材をしたんですか?

藤元 「日越ともいき支援会」だけではありません。逃げてきたベトナム人の実習生や留学生を匿うシェルターの役割を果たしている場所は、ほかにもあって、キリスト教の「カトリック川口教会」も同様です。ここにはもともとボート・ピープルだったベトナム人のシスターがいらっしゃいます。あと、岐阜には労働組合の作ったシェルターがあります。そういった各所に出向いて、お話をうかがいました。

 ほかにも技能実習生とかベトナム人に限らず、日本に滞在している外国人、ミャンマー人である僕の妻や友人の体験も、物語の参考にしています。

映画『海辺の彼女たち』より ©2020 E.x.N K.K. / ever rolling films

 失踪というのは「実習生だから起こる」というのも、あるにはあるんですけど……そもそも、もっと人間的なところで言うと、「こういうことがしたいから日本に来たけど、うまくいかなかった」という人もいます。「もっとより良い生活をしたい、稼ぎたい」と思って行動したのに、社会の片隅に追いやられてしまう、という構図は実習生に限りません。例えば、留学生の身にも起こることなんです。この映画では実習制度そのものについて描きたいわけではなかったので、そこは囚われずにいろんな方面から話を聞くようにしました。