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人間が脳を持っていることのメリット

内田 アドバイスをもらいたい人だったら、中野さんを入れておいて、困ったらチャチャッと教えてもらえばいいんだ。

中野 人間は、確かに遺伝子は親から受け継いでいるから、質問者の方のように悩んだりするのだけれど、人間が脳を持っていることのメリットは、遺伝的に繋がっていない人の考え方をあたかも遺伝のように真似できるということなんですよ。それはもう時代を遠く隔てた2000年前の人でもいいし、一度も会ったことのない有名な先生でもいいし、今日のトークライブをご覧いただいたことで、よろしければ明日から也哉子さんか中野信子を棲まわそうと思っていただいてもいいし(笑)。

内田 自分の中で大きくなってしまった思いは、まったくなくしてしまうことはできなくても、何か別のファクターとか人を出現させることによって、両親のイヤだったところが割合としては小さくなる。どんどん割合が小さくなったら、それは自分の心の中でうまく距離をとっているということですものね。ああ、これ、すごくいい!

 

中野 本木さんは、そういうお仕事ですよね。斎藤道三とか、志賀直哉とか、あるいは架空の人物とか、ぜんぜん自分と関係ないキャラクターなんだけど、一時的にその人を棲まわせて演じるのではないかな。

内田 そうですね。イギリスに住んでいたとき、とても面白いと思ったのは、イギリスでは小学校から演劇の授業があるんですね。主要5教科以外に必ず、体育と一緒にアートやドラマの授業があるの。どうしてイギリスではいつもドラマの教科があるんだろうと思っていたけど、授業で演技をするというのは、いろいろな人の思考パターンを自分の中に取り入れる訓練なのかもしれないですね、今のお話とつながっているかもしれない。

ブレーキのために、大事なのは想像力

中野 ああ、それは面白いね。確かにロールプレイというのはすごく役に立つんです。「人から何か強く言われたときに萎縮して何も言い返せません。どうしたらいいでしょう」という悩みをよく聞きます。そういうときに、「最初はロールプレイから始めましょう」と答えることがあるんですよ。「強いあなたをつくりましょう」と言っても難しいから、「こういうふうに言われたら、その上司に対して言い返すのではなく、『あ、ほこりがついています』とか言うところからまずはやってみましょう」とね。本当は首を絞めてやりたいほどむかついても、「あ、ネクタイが曲がっていますよ」と、まずはネクタイから。

 

内田 (笑)そこでちょっとだけエネルギーを逃すのね。それは役立ちそうですよね。対談するなかで中野さんに教わったんですけど、カッとしたときにそれを抑える方法の一つとして、自分がこうやって怒ると、結果として、こんなまずいことが起きたな、恥ずかしかったな、嫌だったなという過去の記憶を思い出せるようにしておくと、あんな思いをすることが引き換えになるくらいだったら、今カッとするのは沈下させておこうとブレーキがかかる。大事なのは想像力なんですね。

中野 想像力、大事です。

内田 だけど、カッとなる瞬間にそれを思い出すというのは、そうとう至難の業ですよね。

中野 大変ですね。知性が試されます。

内田 人生、修行の連続ですね(笑)。

中野 (笑)では次、いってみましょうか。

【続きを読む】「本木雅弘が苦手な納豆を例に語り始めて…」 内田也哉子、中野信子が明かす“なんで結婚しちゃったのか”の答え

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内田也哉子
1976年東京都生まれ。樹木希林、内田裕也の一人娘として生まれ、19歳で本木雅弘と結婚する。エッセイ、翻訳、作詞、ナレーションのほか音楽ユニットsighboatでも活動。著書に『会見記』、『BROOCH』(ともにリトルモア)、樹木希林との共著『9月1日 母からのバトン』、翻訳絵本に『ピン! あなたの こころの つたえかた』(ともにポプラ社)、『こぐまとブランケット 愛されたおもちゃのものがたり』(早川書房)、『ママン 世界中の母のきもち』(パイ インターナショナル)などがある。

中野信子
1975年東京都生まれ。脳科学者。東日本国際大学特任教授。京都芸術大学客員教授。東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。医学博士。2008年から10年まで、フランス国立研究所ニューロスピン(高磁場MRI研究センター)に勤務。著書に『サイコパス』、『不倫』、ヤマザキマリとの共著『パンデミックの文明論』(すべて文春新書)、『ペルソナ』、熊澤弘との共著『脳から見るミュージアム』(ともに講談社現代新書)などがある。

なんで家族を続けるの? (文春新書 1303)

内田 也哉子 ,中野 信子

文藝春秋

2021年3月18日 発売

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