又吉直樹さんの家族のエピソード
内田 そういう世の中のタイミングともシンクロしているんですね。あ、また編集部から何か突然、メモを渡されましたよ。PRお願いしますって(笑)。
中野 はい。発売中の「週刊文春WOMAN」2021春号についてですね。私と也哉子さんが『なんで家族を続けるの?』を読んでくれた又吉直樹さんと家族をテーマにおしゃべりしているページがあります。又吉さん、面白かったね。
内田 又吉さん、すごい温度が低温なんだけど、淡々と話してくださるご家族のエピソードが面白くて。
中野 お父さんのキャラがすごいよね。酒盛りしては仕事に行かなかったり、ケンカして死にかけたり。息子の可愛がり方も独特。運転中に「後ろの車がずっとつけてきてる」と脅かして、又吉少年は案の定、号泣する。両親に別居期間があったり、お父さんに耐えられなくなったお姉さんが家を出たりするんだけど、又吉少年は一貫して親に優しい。也哉子さんにも感じるんですけど、アダルトチルドレン的なんですよね。親がフリーダム過ぎると子どもが早く大人になってしまう。あと、スイカが半分だったか一玉だったか(笑)。そんな又吉さんのお父さんがお母さんをどう引っ掛けたかという話が書いてあります。
内田 ご自身の家族を観る視点も、又吉さんはやっぱり深いですよね。
中野 小説を書く人って、いいなと思いましたね。
内田 又吉さんも、家庭環境がいわゆるハッピーファミリーの代表ですというわけではなかったから、その逆境のなかから、自分がどういうふうに生きていったら生きやすいかを、すごく試行錯誤されたんだなと思いました。だからこそ、人を見る目、小説を書く力が養われたんですね。難を有り難いものと捉えてらっしゃるんだなっていうのを、すごく感じましたね。
あっという間にもう時間が終わろうとしているんですが、この本の刊行にちなんでハッシュタグキャンペーンを5月5日(水)23時59分まで開催します。「#なんで家族を続けるの」というハッシュタグをつけて、みなさまのご家族のエピソードを140字以内でツイッターに投稿してください。ご応募いただいた投稿から、中野さんと内田也哉子が優秀作品を選び、私たちのサイン入りの本をお送りします。ふるってご参加ください。出版社は一生懸命いろんなアイディアを出すんですね、本を届けるために(笑)。お疲れ様です、ありがとうございます。
中野 プロモーション戦略としてね。ありがとうございます。