共演相手は「インドの松本人志」
今回の共演者のシヴァもインドの人気コメディアンで、スタッフからは「インドの松本人志」と説明されたという。確かにシヴァが東京を歩けばインド人からは握手や写真を求められ、現地での撮影もたくさんの野次馬が詰めかけた。
富山などでの撮影を経てすでに作品は完成しているが、新型コロナウイルスの影響もあってまだ公開の見込みが立っていない。それでもポスターやティーザーは公開され、田代のSNSではインドからのフォロワーがじわじわ増えつつある現状だ。3月には政府観光局JNTOのインド向け日本キャラクターにも就任。足立区のスーパー店長だった男は、今やインドで名を上げつつある。
人口世界2位のインドの次はどこへ? と考えたら1位に行くしかない。インド映画に続いて田代が出演を果たしたのは中国映画だった。
探偵コンビが世界各地で難事件を解決する人気シリーズ『唐人街探案』。シリーズ第3作の舞台は日本で、妻夫木聡や長澤まさみ、三浦友和、鈴木保奈美、浅野忠信、染谷将太といった日本の人気俳優たちも出演している。中国では今年2月に公開されると興行収入はすでに750億円を突破。『鬼滅の刃』の興行収入が日本で約400億円であることを考えると、同作品のスケールが窺い知れる。
田代は錚々たる顔ぶれとともにキャストに名を連ね、探偵コンビの前に立ちはだかる強敵の力士としてアクションシーンを演じた。こちらもいくつかあるポスタービジュアルの1つにデカデカと登場している(後ろ姿ではあるが)。そのうち日本の映画館でもその役者っぷりを目にする機会が訪れるかもしれない。
頼まれた仕事はどんなものでも。…でも、譲れない一線も!
一見、頼まれた仕事はどんなものでも…と見えなくもないが、田代たちには譲れない一線がある。以前、日本のある有名ドラマから出演の依頼があったが、それは断った。登場人物が殺人鬼の力士という設定だったからだ。
「もしそのドラマに出たらネームバリューとしては素晴らしかったと思います。でも、僕らがお相撲さんのイメージを傷つけたり、貶めるようなことはやっちゃいけない。相撲に恩返しできるように、相撲のイメージを上げていこうというポリシーは持っています。『唐人街探案3』も“お相撲さんは強いもの”という彼らのリスペクトが見えたからこそ依頼を受けたんです」
常に根っこには相撲への愛情がある。そして、その愛情の奥底には、田代が現役時代に果たせなかった相撲へのある思いも隠されているのだった。(#2へ続く)
写真撮影=文藝春秋/今井知佑
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