仕事でのメンタルヘルス悪化の原因として、何を思い浮かべるか。過剰な業務やノルマ? 厳しい上司? そうした端的な理由があるケースもあるが、実態はもう少し複雑なことが多いという。日本のメンタルヘルス問題の第一人者である著者が、そうした「心が折れる」事例を多々挙げつつ、背後に潜む論理を丁寧に解説した本が売れている。

「メンタルヘルスの不調が多く発生する会社には『飲み会が少ない』『最近涙を流した人が少ない』といった共通した特徴がある……そんな著者の話が企画のきっかけでした」(担当編集者の野澤靖宏さん)

「著者とはこれまでに『「新型うつ」な人々』『劣化するシニア社員』という本を出して来たのですが、それらは主に人事労務や管理職の人向けの内容でした。今回の本は『うちの職場、もしかしたらヤバいのでは?』と危惧している幅広い人たちが手に取れるものにしたかったんです」(共同担当編集者の長澤香絵さん)

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 一般的な会社員に限らず、地方公務員や介護士など豊富な事例を掲載。多様な読者に響く内容で、初動でも大都市圏から地方まで好調な動きを見せた。また、類書では異例なことに若年層や女性読者の比率も高い。

「『会社』ではなく『職場』に焦点を当てたことがよかったと感じています。『職場』は立場や年代にかかわらず誰でも関係するもので、だからこそ、この問題では重要なんです」(長澤さん)

心が折れる職場 (日経プレミアシリーズ)

見波 利幸(著)

日本経済新聞出版社
2016年7月9日 発売

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2016年7月発売。初版8000部。現在9刷6万5000部