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「悪意を悪意のまま表現したものは、歌っていて気持ちが晴れる」 Adoが語る「うっせぇわ」「ギラギラ」「踊」と‟心情がリンクした”部分

Adoインタビュー#2

Ado

2021/05/12
note

歌って気持ちが晴れる曲も、明るく元気になれる曲も好き

——そういうAdoさんの普段抱えている思いと、好きになる音楽や歌いたくなる曲っていうものは、「うっせぇわ」に限らず、繋がるようなところがありました?

Ado 極端なところがあるんですけど、こういった「うっせぇわ」やsyudouさんの楽曲や和田たけあきさんの楽曲、悪意を悪意のまま表現したものは、単純に歌っていて気持ちが晴れるんです。嫌なことを考える自分も嫌いだったんですけど、別にそのままでもいいんだって思えるようになって、それで好きでした。そういったものとは打って変わって、明るくて元気になれるような楽曲も大好きです。初音ミクが歌ってる、ボカロがボカロとして活き活きと歌ってる楽曲も大好きで、とっても元気になります。なので、自分でも歌うことが多いです。

写真はイメージ ©️iStock.com

——「レディメイド」(詞曲・編曲:すりぃ)に関しては、曲を受け取ってどんな風に感じましたか?

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Ado 「うっせぇわ」は怒りをテーマにした曲だと思うんですけど、怒りの他にも自分の思いを訴える、叫ぶようなところがあって。それは「レディメイド」も一緒だと思います。歌詞でグッときた部分は、Dメロの「大人にだけはなりたくなんかない」っていうところ。そういう風に思う人って少なからずいらっしゃると思うんですよ。そういった気持ちが包み隠さず歌詞になっている。人間はみんな、気持ちはどうであれ身体はどんどん大人になっていくと思うんですけど、でもそれに抗いたいという気持ちが強い曲。叫んだり、訴えたり、抗いたい。そういう印象が強い曲だと思いました。

一番深入りできたのが「ギラギラ」

——「ギラギラ」(詞曲・編曲:てにをは)に関してはどうでしょうか? お話を聞いていると、この曲に描かれている心情とAdoさんご自身に重なり合う部分も感じましたが。

Ado 「うっせぇわ」や「レディメイド」とはまた違って、主人公が自分の容姿にコンプレックスを持っていたりして、孤独の切なさも描かれていて。「うっせぇわ」や「レディメイド」にも自分の心情とリンクした部分があったんですけど、一番深入りできたのが「ギラギラ」ですね。これはただの個人的な意見なんですけど、「あーもう本当になんて素晴らしき世界」っていう皮肉めいた歌詞とか、その後の「Ugly 正直言って私の顔は そう神様が左手で描いたみたい」っていう歌詞には、私も自分の容姿にコンプレックスを抱えてずっと悩んできたので、重なる部分があります。その後のDメロで「もしも神様が左利きならどんなに幸せか知れない」というところも、私もそう思うことがあるので。自分と重なる部分が強いと思います。