「小説を音楽にする」というコンセプトを掲げ、2019年11月『夜に駆ける』でデビューした、男女2人組の音楽ユニット、YOASOBI。ユニットのメンバーは、楽曲の作詞・作曲・アレンジを手がけるコンポーザーのAyaseさんと、ボーカルのikuraさんだ。9月18日に双葉社から発売された、楽曲の原作小説4作を収録した「夜に駆ける YOASOBI小説集」は初版35000部というロケットスタートにも関わらず発売初週で重版が決定し、収録作のひとつが実写映画化もされた。
そんな中発売する3ヶ月ぶりの新曲は、放送作家鈴木おさむ氏の書下ろし小説『月王子』を原作とした、YOASOBI史上最もハートフルなミドルナンバー。また、2021年1月6日には、『夜に駆ける』~『群青』までの全楽曲、さらに新曲も収録した豪華仕様の完全生産限定版の初CD『THE BOOK』を発売するなど、破竹の勢いのYOASOBIのふたりに話を聞いた。(全2回の2回目。前編を読む)
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ソロとユニットの活動のバランス
物語世界を膨らませる起点として、小説を用いている……。そのしくみはよくわかるにしても、表現する者として「自分がゼロから立ち上げたオリジナル」をつくりたいという欲求に駆られることはないのか?
Ayase その欲求は他で満たしているんだと思います。僕にはボカロPとして、ソロでやる活動の領域があって……。
ikura 私もシンガーソングライターとして歌をつくり、歌っているので……。そういう活動の延長線上にYOASOBIがあって、ソロとユニットの活動のバランスはうまくとれています。
Ayase 自分の言葉で表現するフィールドは残したまま、新しいチャレンジができる場所としてYOASOBIがあるという感じですね。そもそもYOASOBIというネーミングも、遊び心を抑えきれずに好きなことをつい夜通ししてしまうような、夜遊びのワクワク感をイメージして付けていますから。