映画『タイタニック』(1997年)の後編が5月14日に「金曜ロードショー」で放送される。メガヒットの裏で制作面におけるドラマに事欠かなかった作品でもあり、エンディングについては、監督のジェームズ・キャメロンが執心するあまり、3バージョンが作られていたという。知られざる秘話の数々を映画ライターの平田裕介さんが紐解いていく。

*以下の記事では、『タイタニック』の内容や結末が述べられていますのでご注意ください。

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 1912年4月15日、イギリスのサウサンプトン港からニューヨークへと向かうなかで氷山に衝突して沈んでいった客船タイタニック号。

 そんな同船で運命の出会いを果たした、令嬢ローズ・デウィット・ブケイター(ケイト・ウィンスレット)と画家を目指す貧しい青年ジャック・ドーソン(レオナルド・ディカプリオ)。女性への抑圧が当然とされる上流階級で生まれ育ったローズは、自由な世界があることを教え、導いてくれるジャックに強く惹かれていく。やがて彼女は婚約者である富豪の御曹司キャル・ホックリー(ビリー・ゼイン)と彼との結婚を強いる母ルース(フランシス・フィッシャー)と別れてジャックと共に生きる決意をするが、沈没という非業の運命がタイタニック号に待ち構えていた……。

 誰もが知る海難事故を題材にした1997年制作の『タイタニック』は、日本での興行収入が262億円、全世界興収が22億ドル(約2400億円)、世界歴代興収ランキング第3位をマークするというメガヒットを打ち立て、第70回アカデミー賞では、作品賞、監督賞ほか、全11部門受賞を果たした。

ディカプリオの起用に興味を示さなかったキャメロン監督

世界中で大ヒットした映画『タイタニック』 ©getty

 そうした記録もさることながら、制作面においてもドラマに事欠かなかった作品でもある。

・ジャック役の候補には、ブラッド・ピット、トム・クルーズ、マシュー・マコノヒー、イーサン・ホーク、クリス・オドネル、ビリー・クラダップなどの名が上がっており、そのうちのひとりであったレオナルド・ディカプリオの起用には、監督のジェームズ・キャメロンはほとんど興味を示していなかった。

・キャメロンがディカプリオの演技力に圧倒されて起用を決めると、今度は彼のほうがジャックのキャラクターに深みがないと出演を渋って脚本の修正を求めていた。

・ローズ役のオーディションにはグウィネス・パルトロウ、クレア・デーンズ、ガブリエル・アンウォーが挑んでおり、そのなかにはケイト・ウィンスレットもいたが、ディカプリオ同様にキャメロンはまったく起用を考えていなかった。