このような被害があるということを知り、それが身近に起こることだとわかってほしい。
被害者を責める言葉を言わず、傷つき苦しんでいることを知って、そっと見守ってほしい。
暴力をふるう力があったのは加害者だということを理解し、その責任を追及してほしい。
人々が応えてくれることで、私は話すことができる
私の講演を聞いてくれる人々の顔に、そんなことが起こっているのかという驚きや、そんなことは許されないという義憤を私は見ることができる。どうしたらいいのかわからないけれど、何かがなされる必要があるという決意が、聴衆の反応から感じられる。
講演後のアンケートに「性について話すことの難しさを思い知った。今後、性犯罪の被害者から聞き取りをするときに、少しでも話しやすい状況をつくるにはどうすればいいのかをよく考えていきたいと思います」と書いてくれた男性警察官。
「被害者の気持ちを少しでも知ることができました。深刻な性暴力の問題に胸がふさがる思いですが、今後の支援に生かしていきたいと思います」と書いてくれた支援者の方。
「自分をさらけ出して話してくださったことに感謝を言いたい。素晴らしかった」
と講演後に感動を伝えてくれた男性。
その日初めて会った私に、自身が経験した被害について、私の目を見つめながら小声で、あるいは声を振り絞るように告白してくれた女性や男性たち。
人々がそのように応えてくれることで、私は自分の最も話したくないこと、誰にも語ってはいけないと思っていたことを話すことができる。
そして、話す中で私は気づく。
傷ついた自分は、汚れていて恥ずかしく、生きている価値はない。
誰よりもそう思っていたのは自分だったということを。
【前編を読む】「誰も助けてくれない」「自分は価値がない人間だ」13歳から父親の性被害にあっていた女性の“悲痛な告白”