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東京ー品川間 美人弁護士との旅路

 続いては、反対にわだかまりを断ち切るお話。

「品川まで乗っていいですか」、美人弁護士に惚れ込んだテレ朝のプロデューサー氏、大阪に戻る彼女を見送りに東京駅までついていき、こういって新幹線のなかまで追いかけた。

 東京―品川を新幹線のグリーン車で移動するひとは、なかなかいない。こんな奇行を紹介するのが、「美しすぎる弁護士亀石倫子氏にテレ朝プロデューサーが送った自作『恋愛小説』」だ。

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亀石倫子弁護士 ©時事通信社

 この記事は匿名の告発を発端とする。テレ朝の報道番組「サンデーステーション」のプロデューサーがセクハラ・パワハラ問題を起こしながらもお咎めなく、告発者はこの理不尽に義憤したのだろう、「健全な番組に戻したい。調査、取材をよろしくお願いいたします」と文春に訴えたのであった。

ジェームス三木の「ノート」を思い出してしまう

 文春が明らかにすることの次第は、「サンステ」にゲストコメンテーターとして出演する亀石氏に、番組プロデューサーが入れ込みすぎてトラブルになったというもの。関係者によれば、出演のために上京した亀石氏を放送終了後に食事に誘い、また月に一度程度のゲスト出演を「レギュラーにしようか」などと話していたという。

 記事ではその入れ込み具合も紹介。プロデューサー氏は「微熱少年」と題した、十代の男女の恋愛小説を創作し、亀石氏に送っている。プロデューサー氏と思しき「少年」が、亀石氏をモデルにしたと思われる少女と出会い、恋に落ちる物語だという。なんとなしにジェームス三木がしたためた女性遍歴ノート「春の歩み(或る美青年)」を思い出してしまうタイトルだ。

ジェームス三木 ©釜谷洋史/文藝春秋

「『微熱少年』は、少なくとも九話分が送信されています。さすがに亀石氏も、小説が送られてくる度に『二人が結ばれる展開になったらどうしよう』と困惑していたそうです」そんなものをいちいち読んでいる亀石氏はエラいと、つい感心してしまう。

 身の危険を感じた亀石氏は、芸能事務所に所属することを決める。それまではプロデューサー氏から直接、出演交渉などの連絡があり、やりとりをしていたが、芸能事務所に入ったことでその必要がなくなるからだ。効果てきめん、「あんな女は使うな!」とプロデューサー氏は激昂し、おかげで迷惑なつきまといも止むのだった。

 悪評ばかりが書かれる芸能事務所だが、こうした効用もあるのだ(これがそもそもの役割だが)。

(注)http://natalie.mu/music/news/252046