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 また、瀧さんの逮捕直後に公開が予定されていた、映画「麻雀放浪記2020」の白石和彌監督は、「役者と監督としては難しいかもしれないけど、一人の友人として、彼の人生や治療のサポートは、なんでもやりたい」と複数のインタビューの中で、積極的に手を差し伸べることを公言しました。

 地の底に落ちた時、この声は何より救いになるし、染みるでしょう。薬物犯罪者であるかもしれませんが、それ以前に瀧さんのことを一人の人間として見ていると痛いほど感じるコメントは、自分のことのように嬉しいものでした。

確実に近くに存在する薬物

 従来通りの袋叩きがあった上での、擁護だったのかもしれません。でも、たった数年前にはほとんど聞こえなかった声でした。あったとしても、擁護したその声まで叩きに叩かれていました。周りの理解やサポートがある上で、薬物の治療につながるのと、孤独の中で治療につながるのとでは、回復への道がはるかに違うものになります。

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 薬物は、遠くの世界の話。そう思っている人も多いでしょう。私の家族、同僚、友人たちだってそう思っていました。薬物依存症の家族会でも、自分の家族の薬物使用について知らなかった方がほとんどです。でも、目に見えないだけで確実に近くに存在します。それは、都会でも地方でも変わりません。

 私がいうのもなんですが、「薬物に手を出さない」というのは大前提です。その上で、手を出しちゃった先の話を、日本ではあまりにもしてこなかったし、避けてきました。そして、薬物に対するスティグマ(負の烙印)だけが、どんどんはびこり増殖していきました。そんな状況の中で、何十年も必死に薬をやめ続けている自助グループの仲間たちは、本当に苦労したと思います。

 私が依存症の人たちと付き合うようになって、2年が経ちます。彼らと一緒に過ごすことで、ようやくうつから解放されました。前と変わらず人と話ができるようになりました。自由に店にも入れるようになりました。電車やバスも乗れるようになりました。

 自分の失敗で、派手に転んでしまいましたが、ようやくそこから回復し、人生を取り戻すことができたのです。

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