「大翔くんは外で亡くなったんじゃないか」
この直後、田中容疑者は子供たちとともに家を離れている。2月14~15日頃には、前出の高齢男性宅に田中容疑者からまた電話が入った。
「『団地の敷地内にあるポールをとってほしい。あのポールがなければ家の前まで車をつけられるから』と言っていたから、荷物でも運ぶのかなと思って、ポールを外してあげたんです。そのことを伝えると田中さんは『ありがとうございます』と言っていた」
このエピソードについて、前出の大手紙社会部記者はこう推測した。
「大翔くんの遺体は、発見された2月25日の時点で死後10日ほどが経過した状態でした。2月15日前後に亡くなったと考えると、外で亡くなった大翔くんの遺体を、人にばれないように家の中に運ぶために、車を家の前に付ける必要があったのかもしれません」
近隣住民が田中容疑者を擁護するワケ
大翔くんの死は司法解剖で病死であることが判明したが、田中容疑者によるものではないかという憶測は根強くある。「この頃、周囲をキョロキョロと見回し、不審な様子で車に乗り込む田中容疑者の姿を見ました」と声を潜めて語る近隣住民もいた。
懐疑的な見方の住民がいる一方、バレンタインデーの前日に田中容疑者宅を訪れた高齢女性は「病死だと信じている」と話す。
「いつだったか、『子供が熱を出したので体温計を貸してくれませんか』と田中さんが訪ねてきたことがあったんです。田中さんはよくお金に困っていたし、体温計を買うお金もないんだなと思った記憶があります。大翔くんの体調が悪くなったのに、薬が買えずに亡くなってしまったんじゃないでしょうか。部屋で遺体が見つかったら疑われると思って、早まったことをしてしまったんじゃないかって思うんですよ。気の弱い人だったから……」(同前)
大翔くんの詳細な死因は不明だが、「警察は病死と事件の関連性を慎重に調べている」(前出・大手紙社会部記者)。田中容疑者は桜島への最後の家族旅行をした理由について「最後に子供たちをフェリーに乗せてあげたかった」と話しているという。田中容疑者は取り調べに対し、いま何を語っているのだろうか。