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2021/05/18

genre : 社会, 政治, 医療

「1日100万回接種」の根拠はどこに?

 では次。

「1日100万回接種」について。これが7月末に接種完了できる理由となっているのだが、その根拠を記事で探してみた。

 結論からいうと根拠はなかった。

 朝日と読売から抜粋しよう。

《官邸幹部によると、7日の首相会見の前に「100万回は根拠がない。発表すべきではない」と、首相の表明に反対する意見も出たという。》(朝日5月11日)

 だが、首相はこれを押し切った。そもそも、なんで100万回という数字が出てきた?

《首相周辺は「7月末に接種を終えるには、1日100万回打つ必要がある」と説明。期限を逆算して、「100万回」をはじき出したとする。》

 つまり逆算だったのだ。あまりにも強引に見えるが、何か7月末に世界的なスポーツイベントでもあるのだろうか。

 同じ日の読売は『「1日100万回」接種の実現危ぶむ声、大規模会場2か所で計1・5万回どまり』と書き、

《1日100万回を達成できる「めどは全く立っていない」(政府関係者)》

 こんな状況なのだが電話攻勢やら周囲からの圧を受けて「7月末完了」を言わされる自治体の様子がここでも見えてくる。

政府は「予約が入らなければ完了」

 さて今回私が一番紹介したかったのはこちら。

 読売は同記事で7月末に高齢者接種が完了しなかった場合、「批判の矛先は首相に向かいかねない」と書いた (5月11日) 。

 その次だ。

《政府内では「高齢者から予約が入らなければ高齢者は完了ということだ」(政府高官)とする声も出ている。》

 え…?

 これってどういう意味だろう。高齢者から予約が入らなければ接種は完了…。

 予約したくてもできない高齢者がいても目標達成なのだろうか。この部分、何度も読み返してもザワザワが止まらない。

©️iStock.com

 となると次の記事を読んで欲しい。

『ワクチン接種予約、電話つながらずネット使えず…戸惑う人たちを共助で救う』(東京新聞Web・5月15日)

 ネットに疎いお年寄りへの「共助」の動きを伝える記事だが、先ほどの政府高官の「高齢者から予約が入らなければ完了」を思い出すと記事の意味が違って見えてくる。

 浮かぶのは菅首相の「自助」という言葉だ。

 まさか、お年寄りも「自助」?

「自助」を利用しすぎではないだろうか。数字の目標達成への懸命さと同時に冷たさすら感じてしまう。

 今こそ「共助」「公助」だと思うのですが。

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