日曜日だった5月9日昼過ぎ、愛知県田原市にある2階建てアパートに男性の悲鳴が響き渡った。
「わかった! わかった! やめてくれ!」
悲鳴を上げる男性に2本の包丁でメッタ刺し
2階の廊下でもみ合う2人の男。叫び声を上げる年配の男性は必死に手で顔を覆う。一方的に殴られ、年配の男性は外階段を転げ落ちていくが、その悲鳴は、襲う側の若い男の耳には届かない。若い男は全速力で廊下を走り、自分の部屋に戻るとすぐにまた飛び出してきた。手に握られていたのは台所から持ち出した2本の包丁。
「おらあっ」
1階に落ち、うずくまる男性の上に再び馬乗りになると、男は包丁を振り上げた。
「待て! 誰か、助けてくれ!」
なおも悲鳴を上げ続ける男性に向けて、包丁は何度も振り下ろされた。左足、右腕、背中……。地面に血だまりが広がった。
若い男は近隣住民と郵便局員に取り押さえられ、まもなく駆けつけた愛知県警田原警察署の警察官に引き渡された。男は地元の工場に勤める会社員、辻田泰地容疑者(23)。襲われた男性は出血性ショックで死亡した。辻田容疑者自身も両手に傷を負っていたが、治療が終わった、事件の翌10日に殺人容疑で逮捕された。
一部始終を目撃した近隣在住の女性が語る。
「昼間っから大きな叫び声が聞こえて。何かと思って外見たら、男が包丁持って誰かに襲いかかっていた。包丁は2本あるように見えました。驚いたなんてものじゃない。怖いですよ、こんな何もないところで日曜日の昼間から」