入院時と出院時で変わったもの
以下は、6年間で約380名の少年院在院の非行少年から聞いた3つの願いトップ10です。最初が少年院に入院したとき、後が少年院から出る直前に聞いたものです(人数は重複ありです)。
(入院時)
1位 お金持ちになりたい(85人)
2位 過去に戻りたい(59人)
3位 家に帰りたい(少年院から出たい)(49人)
4位 家族が幸せになる(34人)
5位 仕事がしたい(28人)
6位 非行をしない(25人)
7位 生まれ変わりたい(20人)
8位 賢くなりたい(19人)
9位 自分を変えたい(17人)
10位 自分が死なない(15人)
(出院時)
1位 お金持ちになりたい(94人)
2位 家族が幸せになる(90人)
3位 過去に戻りたい(66人)
4位 将来なりたい職業が実現する(26人)
5位 自分が死なない(24人)
5位 非行をしない(24人)
7位 結婚して子どもが欲しい(21人)
8位 幸せになりたい(16人)
8位 イケメン、マッチョ、高身長になりたい(16人)
10位 仕事がしたい(14人)
いずれもトップはお金ですが、これは我々でも言えるかと思いますので、特に不思議ではありません。他をみると、次のようなことがみえてきます。
・入院時の願いごとは、お金、過去に戻りたい、家に帰りたいが圧倒的に多いが、出院時になると、家族の幸せが2位に上がってくる。
・仕事に関しては具体的な職種を挙げるようになった(しかし総理大臣や歌手など少し現実離れしているものも見受けられた)。
・入院時に比べ、出院時にはイケメンになりたい、高身長になりたいなど外見の願いが増えた。
・自分が死なない願い(生きたいという気持ち)が増えてきた。
現実的な願いも増えてきますが、一方で、自分だけのことよりも家族との関係を切望する少年が増えたこと、将来の具体的な仕事など“やってみたい”という気持ちが出てきたこと、は注目に値するかと思います。少年院の環境の中で、入院当初は絶望していた少年たちでも、やりたいことを見つけ、他者とうまくやっていきたいといった気持ちが生じてくるのです。
社会では挫折ばかりが多かった彼らでも、環境が変わった、寄り添ってくれる人ができた、自身への気づきの機会があった、ということで、ポジティブに変化していく可能性があることを私は知りました。
【前編を読む】少年院で聞いた「5年後、どうなっていると思う?」 非行少年たちの回答に表れた“切ない傾向”とは