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2021/05/25

genre : ライフ, 社会, 教育

失われたやる気を復活させる鍵

 おそらく我々支援者が知らない“これのためなら頑張れる”“これがあるから頑張れる”といったものを、誰しもがもっているのでしょう。そこにスイッチが入れば、時には信じられないような頑張りを発揮する人たちもいるのです。支援者の役割はそこのポイントをいかに見つけて、いかにスイッチを入れてもらうか。これこそ失われたやる気を復活させる鍵なのではないかと思っています。

 一方でこれは、「ふだん何もしないくせに、コンサートには行っているなんて」と、非難の的になりがちなのも事実です。自分の好きなことだけしている勝手な人、わがままな人、というレッテルを貼られるかも知れません。しかし、そのように見られる行動であっても、本人の支援をするために有効なリソースの一つとしてみることが大切なのだと思います。

“非行少年たちの3つの願い”から学ぶこと

 ところで、みなさんが頑張りたいと思う動機づけは何でしょうか。例えば、お金持ちになりたい、出世したい、いい学校に合格したい、いい会社に入りたい、好きな仕事をしたい、大きな仕事をしたい、彼氏・彼女が欲しい、異性にもてたい、結婚したい、子どもが欲しい、いい車が欲しい、痩せたい、背が高くなりたい、イケメン・美人になりたい、世界旅行したい、美味しいものを食べたい、友達から尊敬されたい、人から感謝されたい、親から誇りに思われたい、人の役に立ちたい、いい人間になりたい……など、人には多くの願望があります。これらの願望のために頑張るといった動機づけがあって、はじめて人は頑張れます。やりたくないことを頑張りたいとは誰も思わないでしょう。ここに頑張れない人たちから力を引き出すヒントがないか、考えてみる価値はありそうです。

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 頑張るための動機づけは、人によってさまざまです。私は、“ケーキの切れない非行少年たち”はいったいどのような願いをもっているのか、とても気になっていました。少年院に入ってきた頃は、意気消沈して何事もやる気がなかった彼らも、出院が近づいてくると社会でもう一度頑張ってみたい、色んなことにチャレンジしたい、といった気持ちを持つようになります。どうしてそう変わったのか。もしそれが分かれば彼らの動機づけの解明にもなり、他の人たちのやる気のヒントにもなるかもしれません。

 そこで、私が少年院勤務時代に何年間かにわたって彼らから聞き続けてきた“3つの願い”というものをご紹介したいと思います。これは、「もし、どのようなことでも願い事が3つかなえられるとしたら、どのようなことをお願いしますか」といった問いに対して、彼らが出した答えです。