「美人アスリート」なる言葉はもう死語となるかもしれない。警視庁が今月、女性アスリートの画像を無断でアダルトサイトに投稿したとして著作権法違反容疑で、サイトの運営者を逮捕した。近年、女性アスリートの性的な扱いについて非難が高まっていることを受けて初めての逮捕だが、そこにはスポーツ界の「原罪」も見え隠れする。
「エロハプニング」約10年間で1億円以上を稼いでいた
「エロハプニングシーン」「放送事故」……アダルトサイトに、そんな刺激的な見出しとともに、ある女性アスリートのきわどい画像が掲載されていた。運営していたのは、京都府在住の自営業、小山幸祐容疑者(37)。警視庁保安課が著作権法違反容疑で逮捕した。
小山容疑者は9つに上るアダルトサイトを運営し、サイトを訪れた人が落とす広告費などで約10年間で1億円以上を稼いでいたという。サイトには女性の裸姿の写真などのアダルト画像も載せていたが、特別に「アスリート」の項目も設け、ほかのアダルト画像と一緒に掲載していたようだ。
「わいせつ画像と認定できず、著作権法違反しかなかった」
警視庁は日本オリンピック委員会(JOC)からアスリートの画像を性的に扱った被害報告を1000件前後受けており、今回の事件はその氷山の一角。小山容疑者は「逮捕されるとは思わなかった」と供述しているといい、同様のサイト運営者は、いまごろ首筋に冷たい風を感じているに違いない。
ただ、小山容疑者の逮捕容疑は、2019年5月に女性アスリートの画像39点をテレビから無断で切り出して、自分のサイトに掲載し、不特定多数に見られるようにした、というもの。
こうした著作権法違反事件は本来、警視庁の別の部署が担当し、わいせつ画像などを扱う保安課は本来、門外漢だが、捜査関係者は「画像自体はわいせつな画像とまでは認定できず、著作権法違反で立件するしかなかった」と話す。