開発したいデベロッパーからみても1軒1軒地上げしていくのは、バブル時代のように地価がばんばん値上りする時代ならばともかく、開発するのに必要な面積を確保するまでに時間がかかりすぎる。上場会社であれば、こんな時間ばかりかける事業を、株主や金融機関が許してはくれない。
立派な建物内に自分の店が確保できる夢のような仕組み
そこで利用されるようになったのがこの市街地再開発事業なのだ。彼らは、商店街の顔役にアプローチする。対象となるエリアの商店主などに声がけしてもらい、再開発を提案するのだ。大手デベロッパーの名前などを聞くと、事業をやめて売りたがっていた店主たちは、
「おお、うちの土地でも買ってくれるんかい?」
となる。売りたくないし、商売は続けたいという店主は
「こんちきしょう。地上げだろう。絶対売らないぞ」
と、警戒心を剥き出しにする。
だが、この第一種市街地再開発事業は、権利者全員で再開発組合を組成、権利を持ち寄ってデベロッパーやゼネコンに開発を委託、開発してもらうものだ。そのために必要な資金は公からの補助金と、できあがる保留床を大手デベロッパーなどが買い取ってくれる資金で賄えるので、店主たちは基本的には自己負担をすることはないのである。
これまでのお店をやめて大家になりたい人は、自分の権利床はテナントに貸すことができるし、お店を続けたい人は、自分が使う床を以前とは比べ物にならない立派な建物内に確保できる、夢のような仕組みなのである。
「どの街の開発計画か」クイズ:東京編
そういうわけで、現在東京都内のみならず全国各地の駅前を中心にこの市街地再開発事業が花盛りである。そこで読者のみなさまにこれらの再開発計画中のいくつかのイメージパースをお見せする。これがどの街の開発計画なのかを当てていただこう。
まずは東京編。6つのイメージパースは下町の江戸川区小岩、荒川区三河島、葛飾区金町六丁目および東金町一丁目、中央線沿線の中野、武蔵小金井であるが、いかがだろう。これらを正確に言い当てられたら、あなたは再開発のプロだろう(正解はこちら)。